管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

マナー違反や迷惑行為を誘発しやすい構造に
設計するほうにも責任があると思うのです





2016/5

 日頃から私は「マンションを設計する建築士さんは、マンション管理人の意見も聞いて設計して欲しい。建築士さんは現実をわかっていない」と言っておりますが、ほんと、そう思うのです。

 実は先ほど、当マンションから400mほど離れたところにある、別のマンションの管理人さんが、当管理室にやってきて、苦情を言ってきました。
 
「おたくのマンションの住民である高齢者数名が、いつも、うちのマンションの前の植栽部分の柵の上で、腰掛けて休憩をする。迷惑なのでやめさせて欲しい」という内容です。その管理人さんが、当人に直接注意しても、「いいじゃないのよ! 減るもんじゃないし」と言い返されるので、「管理組合としてなんとかして欲しい」と、当マンションにやってきたようです。(ということは、その高齢者のあとをつけて、住所を調べたということなんでしょう。お疲れ様です)

 私も同じ管理人職ですから、「敷地外のことは関係ねえよ!」と門前払いするわけにもいかず、特に、「座って休憩する際にタバコを一服して、その吸い殻を植えこみに投げ捨てる男性高齢者もいる」ということなので、丁寧に対応をし、すぐに「マナーを守りましょう」的な掲示物を作成し貼り出しました。




 この写真のように、マンションでは、マンションの建物の外の、「境界部分」には、このような植栽が作られていることが多いです。この写真の建物では、金属製の柵がいっしょにあったり、植木が道路側にはみ出ているので座りにくい、という構造で、ここでは、人が座って休憩をする、という光景は見られませんが、マンションによっては、「座るのにちょうどいい作りになっている」というところがあるのです。
 「タイル部分の高さがちょうどいい」「幅が広くて座りやすい」「清掃が行き届いていて清潔なので座りやすい」「風通しがよく乾きやすいので、雨が降ったあともすぐに座れるようになる」「植栽がきれいに刈り込まれているので座りやすい」・・・ いろいろな条件が重なると、「休憩用ベンチ」と化してしまいます。
 特に苦情主のマンションは、「当マンション」と「当マンション住民がよく利用する中型スーパー」のちょうど中間地点にあり、特に買い物帰りの人が、「ちょっと疲れたなあ。家に戻る前に、ここで一休みしよう」と思うような場所なのです。そういうわけで、うちの高齢者住民が、ここを「休憩する定位置」としてしまっているようです。

 こういうのも、設計時点で、「座りにくい構造」「座りにくい植物の植え方」といったものを考えて作れば、誰も座らないのです。もしくは、逆に、「ここで自由にお座り下さい」みたいなベンチをわざと置くというのも、「地元地域への貢献」という面ではいいかもしれません。(管理人は大変だけど)
 
 幸い、うちのマンションの境界部分は植栽がジャングル状態に生い茂っており、座れないようになっているので誰も座りません。でも、「ゴミを投げ捨てたくなるような雰囲気」を持っており、それが悩みの種です。

 

 この写真、どこかの駅前の放置自転車のカゴの中の写真ですが。どこの駅でも、ちょっと自転車をおいておくと、すぐにカゴの中にゴミを入れられてしまいます。なんか、人間の習性として「ゴミを捨てたくなる」ような誘発要因があるのだと思います。特に「前カゴ」は、少しお辞儀をしているので、投げこみやすい角度になっています。

 これと同じようなもので、マンションの植栽部分というのも、その前の道路を歩く人達がゴミを投げ捨てるのを誘発しているようなのです。私も、毎朝、歩道に面した植栽をチェックし、空き缶などのゴミを多く発見します。最近増えているのが、セブンレイブンなどのコンビニで定番商品となっている「100円コーヒー」の空き容器。



これです。おそらく距離的なことなんですが、コンビニで買って持ちだしたコーヒーを、歩きながら飲み、それがちょうど飲み切るあたりに、当マンションがあるのだと思います。ここ1〜2年、この容器が植え込みに捨てられていることがよくあります。こういう「軽い紙容器」というのは、路上に投げ捨てると、風でコロコロ転がりますが、植え込みの中というのは、ちょうどいいくらいに、この容器を包み込んで保持するような形状になっているため、捨てたくなるのだと思います。

それと、こういう「悪いこと」をする人の中には多少なりとも「罪悪感」を持っている人がいるようで、ただ投げ捨てるだけではなく、植栽の中に完全に「押し込んで」、外からは見えないように隠す人もいます。隠れることによって、少しでも「罪の意識を薄くしている」のかもしれません。でも、掃除するほうとしては「中に隠れているものを取り出す」のはとても大変ですし、植木職人が剪定する際に、空き缶などの硬い金属製品を知らずに切ろうとして、刃こぼれしたりして、これも困るのです。

 その他にも、「この高さの塀は、クソガキどもが乗り越えたくなるような高さと構造だな」とか、「このまっすぐな廊下は、子供が走り出したくなるだろうな」とか、「この壁は落書きしたくなるよな」とか、「ここは周囲から見えないから、ここで立ち小便したくなるよなあ」とか・・・ いろいろな箇所があります。ご近所のマンションでは「犬がオシッコしたくなるような柱」があり、そこはいつも水たまりができていて悪臭が漂っています。

 エレベーターの中の「非常ボタン」なんかも、「これは押したくなるようなビジュアル」とかあります。また、「消火器をいたずらしないで下さい」という張り紙があると、逆にいたずらしたくなる、とか。
 犯罪者心理というか、マナー違反者側の心理に立ってみると、「これは悪いことしたくなるのも無理はないなあ」と思う場所がいろいろあるのです。

 こういう「誘発要因」を少しでも少なくするような建築設計をして欲しいので、「最前線で働いている管理人に意見を求めて欲しい」と主張しているのです。よろしくお願いします。特に当地域のような「民度の低い地域」に建設するマンションは、「質の悪い地域住民がいっぱいる」という前提で設計しないといけません。そういう「深い」ところまで考えて分譲会社はマンションを建てて下さい。







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