管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

防犯カメラ設置 どういう姿勢で見せるか?
「23時間監視中」という変則技






  2017/1


「防犯カメラ」

もはや、マンションには必須の設備かと思います。新築マンションには当然のようにありますし、古いマンションでも、あとから取り付けるところがたくさんあります。
ただ、取り付ける際に、単純に「設置すればいいだろ」とだけ考えて、「どういう姿勢で行くのか?」を考えていないところが多いと思います。

「姿勢」というのは、思想とも言えます。

「予防という観点を大事にするのか?」「事件が起きた際に証拠がちゃんと残るようにするのか?」 この姿勢の差は、設置する機械の差にもなります。
例えば、「カメラは目立ったほうがいいのか?」という問題。大きなカメラが人目につく場所に設置してあれば、住民だけでなく、外来の人も含め、誰もがその存在に気づきます。目立てば、抑止効果が働きます。ただ、目立ちすぎると「無粋だ」「美的によくない」と感じる人もいます。かといって、「小さなカメラ」「何かにカムフラージュさせて、その存在を気が付かせないカメラ」なんていうのは、抑止効果が低くなります。それに「目立つ場所」イコール「広い範囲がきれいによく撮れる場所」とは限りません。特に「外光」が入り込んでしまう場所の場合、季節や時刻によっては「逆光になってしまう」「半分は明るいけど、もう半分は真っ暗」なんて場合もあります。「365日 24時間」撮影するものですから、そういう要素もきちんと分析してから設置場所を考えないといけません。そして、そういうのは防犯カメラ会社はよくわかりませんから、そこに住んでいて事情をよく知っているはずの「住民」が指示しないといけないのです。

うちの近所のスーパーでは、「万引き防止」の観点で、店の入口のところに、大きな液晶テレビが設置してあり、そこには、店内に網羅されている防犯カメラの映像が1秒毎に入れ替わって映し出されています。これを見ると、「こんなところも、あんなところも監視されてるのかあ」とわかり、万引き犯の気持ちを削ぐ効果があるでしょう。でも、一般客からしてみれば、「私が何を買おうか迷っているところを別の人に見られている」「私が半額お惣菜をカゴに入れたところを見られている」など、プライバシーがさらされているわけで、あまりいい気はしません。また、犯人側からすると、「あのカメラの画角はこれくらいなのか? だったら、チョコレートの棚は映らないなあ。チョコレートだったら盗める」と、犯人側に警備情報を与えてしまう欠点もあり、「両刃の剣」になってしまいます。

このように、「犯人の心理」「善良な住民の心理」はいろいろであり、みんなが満足する方法はなかなかありません。

それと「機械設備」だけでなく重要なのは「貼り紙」とか「看板」とか「ステッカー」の類です。
当マンションに防犯カメラを設置した際、こういう「ステッカー」のことを全然考えないで設置工事をしたものですから、いざ、カメラが設置されても、「え? カメラだけなの? ”防犯カメラ作動中”とかのステッカーが貼ってないと意味ないじゃん!」って思いました。その点を、防犯カメラ設置会社に指摘すると、「そういう話は事前に何も出ませんでしたので何も用意していません」と返答しました。カメラ設置を考えた「理事会」が、いかにアホだったかということです。防犯カメラ設置会社も、そういうことを事前に説明しないのもひどい思います。1枚のステッカーは非常に大事な役目を負うのに。
ですから、防犯カメラの工事をする際は、その設計段階で、カメラだけでなく、「どれくらいの大きさ」の「どういう文言の入ったステッカー」を「どこに?」「どれだけ」貼るのかまで、ちゃんと考えた上で設計し、それから工事をして欲しいと思います。
うちのマンションの場合、そのあとに、理事長に、「ステッカーはどうしますか?」と聞いたら、「管理人さんの方で好きにやってよ」とか無責任な返答しかなく、私に任されて大変でした。
ステッカーを貼る作業にしても、防犯カメラ会社は「貼る仕事は契約事項に入っていません。ステッカーは無料で差し上げますので、貼るのはマンション側でやって下さい」と押し付けられました。おかげで、私が貼ることになり、脚立に登って高い場所に貼ることもあり大変でした。一人で貼ると、「あれ、傾いてたなあ。やり直しだ」なんてこともあり、その後は清掃員さんに離れたところから見てもらって「もうちょっと右」「少し左」「水平が違いますよ」とか、ああだこうだしながら苦労して貼りました。「なんで管理人がこんなことやらされるんだよ。この工事は、管理会社スルーの、組合からの直接発注工事なのに~」と憤慨したものです。



このステッカーにしても、この防犯カメラ設置会社が「ステッカーのことを重視していない」思想だったため、あまり効果的なものがなく、サイズや形のバリエーションもないために、「エレベーターの中だから小さなもので十分」だと思われるのに、馬鹿でかいものを貼らないといけなかったり、うまくレイアウトできませんでした。うちはそうではないので助かりましたが、美的感覚にうるさいマンションだったら、「貼り方にセンスがない」と怒られたかもしれません。

さて、ここからようやく本題です。

ご近所のマンションでも、ようやく「防犯カメラ」が設置されました。設置されたんですが、上記の当マンションの時と同じで、「ステッカーのことを全然考えていなかった」ために、カメラ設置会社に「ステッカーを貼ってくれ」とあとから頼んだのですが、よほど設置工事代金を値切ったのか? 「それは契約にはありません。そちらでやってください」と突っぱねられたそうです。まあ、今は、この手のステッカーは「100円ショップ」でも売ってたりするので、なんとかなるとは思いますが、適当なものがなかったらしく、足らない分は「管理人が手作りすることになった」そうでして。
幸い、そこは管理室にPCもプリンターも、シュワルツネッガーも、もとい、ラミネーターもあるそうで、管理人さんが一人で、手作りで作り、自分で貼ったらしいのですが。

その文字が・・・  ミスタイプしてしまい、石原さとみみたいな校閲者がいなかったために・・・ 間違いに気づかず・・・

23時間 カメラ監視中

というものを作っていたようでして。

当然、住民からは、「なんじゃこりゃ?」「え? 23時間? 24時間でしょ??!!」「1時間はどうしてるの? カメラが休憩してるの?」と苦情や質問が来たのですが・・・
理事長が、「これ、面白いよ! みんな立ち止まって一瞬目が点になって、所さんみたいだよ」と評価し・・・

「そのままでいい」ってことになったそうです。

後日談ですが。こういう防犯カメラ設置って、実は、防犯カメラ工事会社がいうほど、「抑止効果はない」ものでして、カメラが設置されても、そんなに犯罪やイタズラがマナー違反が劇的に減ることはありません。(特に、うちの地域みたいに民度が低いところだと)

でも、このマンション、「23時間」という「インパクト」が効果があったようで、劇的に変わったらしいのです。
そして、この話を聞いた別のマンションでも、「真似しよう」ということで、今まで貼っていたステッカーに変えて「23時間監視中」というのに替えたら、これまた、効果があったらしく。

「瓢箪から駒」と言いますか、「怪我の功名」といいますか、とにかく、この「23時間」、有効みたいです。みなさんも試しますか??







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