管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

「管理人がいい人だから」という理由で引っ越してきた新住民さん
& 一階の部屋の人気度の変遷






  2017/2


「自分が楽するためにやっている」

当サイトや付属ブログの読者の中には、「管理人がここまでするのはおかしい」「やりすぎ」「働きすぎ」「住民が、全部の管理人がここまでやってくれると思って、自分のところの管理人に無理を押し付けてくる」・・・・と当職のことを批判なさる方がいます。

まことにごもっともです。すいません。
たしかに、自分自身でも働きすぎだと思っています。特に、いろんな備品を「自腹」で購入しているのは、完全にやりすぎです。普通のマンションの管理人というのは、「一時駐車場の料金をくすねたりする」ものであって、「横領」こそすれ、「自腹」ということで、多額のお金を管理組合に寄付したりはしません。

ただ、言い訳させていただくと、もちろん、「住民の皆さんのため」と思ってやっているわけですが、同時に、「自分が楽をしたいから」とも思ってやっているのです。
たとえば、「刃物」。管理組合の役員さんが、「これで植栽の手入れをしておいてくれる?」と言って手渡してきたのは、100円ショップで買ってきた、全然キレない、植木鋏でした。刃物の質は値段に比例します。安物を使って、「切れない」「時間がかかる」「自分がケガをしてしまう」なんてなるよりも、5000円の高級な植木鋏を自腹で購入して、スパスパ切れるほうが、仕事の効率がいいし、自分がケガをする確率も低くなります。

管理組合に対する「各種提案」にしても、「そのほうが自分が楽できるから」という意識もあってやっていることです。


さて、そんなわけで、「高齢者がやたら増えた、老朽化マンション」である当マンションでは、「高齢者に対する福祉」という観点で、私はいろいろと「管理委託契約の範疇」を大きく越えて、働いています。
そういうのは、アランドロンの映画ではありませんが「名誉と栄光のためでなく」やってますので、別に、住民から評価されようなんてことは思ってません。どうせ、うちの住民は、管理人のことなんてろくに見てないですから。
なんて思っていますが、意外と、住民って、細かいところを見ていて、ちょっとしたことで、会社にチクられてしまうこともあります。

でもって、私が、高齢者福祉のことであれこれやっているのを、こっそりと見ている住民がいたようです。。。。。。。





「一階の部屋の人気」

話が変わりますが、マンションにおける「一階部屋の人気度」というのは変遷があります。
昔は、「眺望がない」「多くの住民が部屋の前を通るからいや」「泥棒に狙われやすい」「みんなに見られやすい」「ベランダの前にゴミを捨てられる。上からゴミが落ちてくる」「災害時に浸水する危険性がある」といったマイナス面が考慮され、一階住居というのは人気がありませんでした。そのため、「分譲価格を低くする」とか「ベランダ前に専用庭をもうける」などして、人気を高めて販売してました。

それが、「高齢化社会」になり、変わってきました。高齢者や身障者の視点で考えると、一階の部屋はいい部屋なのです。
「階段やエレベーターを使わなくていいから便利」「救急車を呼んだ際、早く部屋に到着できる」「介護用品とかの搬入が楽」「訪問入浴のスタッフが楽」・・・ そんな面が発見されて、一階の部屋の人気が高まりました。おかげで、うちのマンションも一階の部屋が中古物件として売りに出されると、高齢者とか身障者の人が入ってくることが多くなりました。

その後、「東日本大震災」で津波が注目されたり、「1階の地面がひび割れた」なんてことがあり、さらに、「異常気象」「鬼怒川の決壊による大洪水」で、「海から離れた内陸地でも水害の可能性がある」ということが皆さんに知られ、また、一階の部屋の人気が低くなりました。

そんなわけで、「売りに出されたものの、なかなか、買い手のつかなかった一階の部屋」があったのですが、ついに、そこに「入居者」がありました。それはいいことなんですが、そこに入ってきたのは、かなり重度の「要介護」の奥さんを持つ、高齢者夫婦(ご主人も元気ではあるが、高齢でヨボヨボ)でして。本来なら、病院に入院とか、施設に入る、とか、そういうレベルのはずですが、「部屋の中にバリアフリー工事を施し、なんとか在宅医療&公共福祉を最大限に利用して、夫婦いっしょに暮らしたい。ここで最期を迎えたい」との考えらしく、ここに引っ越してきたらしいのです。

以前住んでいたところは、立派な一戸建てだったらしいのですが、「子どもたちが独立して外に出て、家が広くなった」「家の前の道路が狭く、救急車や福祉施設の送迎車が入ってこれない」「急斜面に立っており、坂もきつい」などの理由があり、適当な中古マンションを探していたそうです。

でもって、当然、マンションの立地条件やら、「一階が便利」ということで、部屋を探していたそうですが、そういうハード面ではなく、ソフト面で「高齢の病人にとって優しいマンションはないか?」という視点でも探していたそうです。
そういうことなら、うちみたいにボロイマンションではなく、新しいところを探せばいいと、私は思うのですが・・・  (AEDが標準装備とかあるもんね、今は)
そこに、うちのマンションの某住民がたまたま、その人と知り合いだったそうで、「ちょうど、うちの一階が空いてるわよ」「うちの管理人さんは、すごく優しくていろいろしてくれるわよ。あんないい人、よそではいないわよ」と推薦したらしく・・・・・

それで、その新住民が引っ越してきたわけです。

これはねえ、管理人的には「光栄です」と言うべきなんでしょうが・・・・・

正直、このご夫婦が引っ越してきてから、仕事が忙しくなりました。
「バリアフリーのリフォーム工事が行われた」
「いろいろな介護用品の搬入が行われた」(そして、こういう用品って、けっこう入れ替わりがあるんです)
「訪問入浴サービスが週2回来るので、その車両をなんとか置かせないといけない」
「ホームヘルパーも週3回やってくる」
「訪問医療で医者と看護婦が月2回やってくる」(これも車でやってくる)
「救急車もよく来る」
「入退院を繰り返す」(ストレッチャーごと、奥さんを運ぶので、これがけっこうたいへん)
こういうものの、いろいろな対応をやらないといけないわけでして。

それに、「これを玄関の前に置くと病気が治る」という効果があるらしい、変な大きな「壺」を部屋の前の共用廊下に置くもんだから、いろいろと問題もあり・・・・

もともと、自分が楽をするために、「高齢者や病人のために役立つこと」をいろいろとしてきましたが、それがもとで、新たに、高齢病人がやってきて、仕事がすごく大変になってしまうって。

う~ん、皮肉だなあ。

あ~、しんどい。








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