管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線 部屋番号7705

「毎年」ではなく、「数年に1度」というものは要注意です




2017/6


「エレベーターの法定点検」 これは年に1回行なうものです。
「消防設備点検」 これは半年ごとに行ないます。
「受水槽の清掃」 これも年に1回行ないます。
「定期総会」 これも毎年行ないます。
「植栽の消毒」 これは法律で決まっているものではありませんが、だいたい、「年に2回」か「年に1回」は行なうものです。
「雑排水管洗浄」 これも法律で決まっているものではありませんが、一般的には、「年に1回行なうもの」とされています。
「防災訓練」 これも一般的には、「年に1回行なうもの」でしょう。

さて、私はことあるごとに、「マンション管理がうまくいかない原因の最たるものは、”役員の1年ごとの輪番制””毎年役員が総入れ替えになってしまうこと”と主張しております。このように「1年任期」というのはほんと弊害が大きいです。

「1年任期」の理事会の場合、上記のように、「年に1回」とか「年に2回」実施しているものについては、自分の任期中に必ず、その行事を経験します。また、その「期」の活動報告にも毎年必ず記載されます。こういうものは、役員さんの記憶にも残りますし、書類にも残るので、次年度の引継ぎ(=次年度の活動予定表に載せること)もちゃんと行なわれます。また、管理会社のフロントの立場としても、「年間予定表」にちゃんと載りますから、「やり忘れる」ということは、普通はありません。たとえ、フロントが忘れても、その実施業者が、「そろそろやらないといけないんじゃないですか?」って言ってくれたりするものです。


しかし、管理組合でやるものは、上記のように「毎年やるもの」ばかりではありません。

今、日本では「東京五輪」のことばかり話題になっていますが、五輪のように「4年に1度」とか「3年に1度」とか、そういう「数年に一度」というものも、管理組合活動の中にはあるのです。

例えば、「地元消防署へ提出する、消防設備点検報告」は、「3年に一度」です。
これ、意外かもしれません。点検自体は「半年に一回」なんですが、それを「消防署に報告する」のは、「3年に一回」なんです。ややこしいですよね。

次に「連結送水管の耐圧試験」

これもややこしいですよ。「設置して10年たったら試験が必要。以後は3年ごとに試験をする」という法律になっています。

このように「法律で決まっているもの」の中にも「数年に一度」というものがありますし、その管理組合独自で、「数年に一度」と決めているものもあります。

「雑排水管洗浄」・・・「毎年1回実施」というところが普通ではあるが、「毎年やらなくてもいいんじゃないか?」という意見があり、経費節減のことも考慮して、「3年に一回実施」としているマンションもけっこうあります。
「防災訓練」
・・・東日本大震災直後は、住民の関心も高く、毎年やっていたが、年々参加者が減ってきて、「2年に1回でいいんじゃないの?」という意見が出て、隔年実施になった。なんてマンションも多いです。
「植栽剪定」・・・これも「年に一回実施」が望ましいものですが、「うちのマンションはそんなに植栽が多くない」「植木屋を呼ぶのはけっこうお金がかかる」などの理由で、隔年実施にしているところがあります。
「側溝清掃」(いわゆる、ドブ掃除ですね)・・・「5年に一回くらいはやりませんか?」といった、ゆる〜い取決めにしていたりします。

その他にも、そのマンション独自の「決まりごと」として、「2段式駐輪場の総入れ替え作業は5年に一回行なうことになっている」なんていうのもありますし、管理組合活動とは離れますが、「所属している地元自治会の中で、4年に一回、その地域の担当幹事になる」なんてこともあります。

このように、意外と、「数年に一度」というものはあるのです。

さて、こういった「数年ごとに実施されるもの」というのは、「引き継がれない」「忘れやすい」という特徴があります。1年任期の役員は、「来年のことなんか、オイラは関係ねえよ」と思ってますから、「来年は何をやらないといけない」なんてことを真剣に考える人はいません。また、何十年か経過して、役員就任も「2回目」「3回目」となっても、過去の任期の時にやらなかった項目に関しては当然経験がありませんから、本当はその年にやらないといけないものでも、忘れてしまうことはあるのです。

「管理会社のフロントはちゃんと把握しているはずでしょ? 排水管清掃だって植栽剪定だって、やれば、手数料が管理会社に入って利益になるんだから。儲け話を忘れるようなアホなことしないでしょ?」って思われる方も多いかもしれません。

でも、忘れることは多いんです。管理会社側は、「年間予定表」というのは作ってあるんですが、「今後10年間の予定表」とかは作ってません。それに、フロント1名で10を超える管理組合を取り扱っているような忙しいフロントもいます。そうなると、よほどきちんとシステム化している管理会社じゃない限り、「耐圧試験やるの忘れてた」ってのはよくあることなんです。利益が出ることであっても忘れてしまうのです。
管理会社のフロントって、人も頻繁に変わりますから、よほど念入りな「引継ぎ」をしないと、「数年に一度実施」の項目を引き継がないことも多いんです。そして、利益にならないことはもっと無関心ですから、「4年に一度、地元自治会の幹事になる」なんてことは完全に忘却のかなたです。防災訓練なんかも、管理会社からすれば、「仕事が増えるだけ。一文の儲けもない」ことですから、管理会社側から「今年は実施する年ですよ」なんてことは絶対に言い出すわけがなく、管理組合側が忘れていたら、「あ〜、ラッキー」てな感じです。


ですから、管理会社をあてにしないで、
管理組合側が自主的に、「今後10年間の予定表」とか作って、管理室内に貼っておくとかしないといけないのですが、「1年任期」の役員さんたちがそんな「長期的展望」なんか持つわけがなく・・・

そういうわけで、「2年に一回やるはずだった防災訓練がいつのまにか、全くやらなくなった」なんてことはよくあることなんです。

特に気をつけないといけないのが、「管理会社を変更した(=リプレイス)時」です。
「理事長の妻さんブログ」
を読んで貰うとよくわかるのですが、「新旧管理会社同士の引継ぎ」というのはすごく大事なことなんですが、これが完璧に行なわれることはまずないです。新管理会社側は「大丈夫です。すべて当社にお任せ下さい」なんてことを無責任に言いますが、これはほぼウソです。「切られてしまう前管理会社」が熱心に引継ぎをするわけがないし、安価な委託費で引き受ける新管理会社が、契約前ならともかく、「釣った魚」状態の時点で一生懸命に仕事をするわけがなく。ですから、うまく行くわけがないのです。




特にリプレイスの際に、コンサルとして「マンション管理士」がからんでいると、要注意です。「マンション管理士がついているんだから安心でしょ?」なんて思わないで下さい。
マンション管理士がリプレイスに関わるときの契約形態は、「管理に関わる費用の削減分が大きいほど、マンション管理士の報酬が高くなる」というものがほとんどです。そうなると、管理士は当然、新管理会社の委託費を大きく下げようとします。これでは、良質な管理会社は手を上げません。また、「経費削減」のために、「毎年実施だった植栽剪定を隔年実施に変更する」なんていうこともします。つまり、マンション管理士がからむことで「数年毎に実施する」という項目が増える可能性が高いのです。しかし、最前線の知識に疎いマンション管理士では、「そういうことにしたら、絶対にあとでみんな忘れてしまい、ちゃんと、3年ごとに実施するか怪しい」というところまで気が回りません。(こういうのは、長年、管理人として最前線で働いていないとわからないことなので)

というわけで、こういう「数年に一度」という項目がある場合、「今後10年」とか「20年」の予定表を作って、「常時、集会室に貼っておく」といった対策を、管理組合自身の発案でやらない限り、「実施忘れ」が必ず発生してしまいます。

(うちの会社なんか、今までに、何回も「消防署への提出を忘れてました!」ってのをやったことか。ひどいもんです。でも、消防署側も、「おたくから報告書出てませんよ」っていう督促をして欲しいです)

とにかく、運転免許証のように、「そろそろ更新ですよ」という通知は来ませんから、自分たちで注意するしかありません。がんばってくださいね。