管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線 部屋番号7708

管理費の他に「コミュニティ運営費」という費目を作ったマンション



写真と文章は関係ありません

2017/7


昨年(2016) マンション管理業界や管理組合の世界では、「コミュニティ条項」という言葉がいろいろと話題になり、議論もされました。

当マンションではやってませんが、他所様では、「餅つき大会」とか「夏祭り」とか「バーベキュー大会」とかいろいろな「マンション内の懇親行事」が行われているようです。「毎年、防災訓練実施後に飲み会をする」なんてところもあるようです。

このような行事には、それなりの「費用」がかかります。その「お金」はどうするか? 加計学園みたいに、「安倍の友達だから、いくらでも出てくる」「銚子市や今治市が出してくれる」というものではありません。

一般的には「管理費から支出する」ところが多いかと思いますが、潔癖症の住民や、こういう「親睦活動」が嫌いな住民から、「そういうお金を管理費から支出するのはおかしい。管理費は本来そういうものではないはず」といった苦情が出てくるものです。
そういう批判を避けるために、中には、「古紙を集めて資源リサイクルをして、それでお金を生み出す。そのお金をコミュニティ形成に使用する」なんてところもあります。

まあ、とにかく、飲食費や遊興費という性格のお金は、なにかと問題が出てしまうものです。管理組合の理事会に出席した役員に、ペットボトルのお茶1本を支給するだけでも、「それはまずいのでは?」と言い出す人もいますから面倒なものです。

私個人としては、「良好なコミュニティが形成されれば、管理組合運営上もプラス点が多い」ことから、「管理費から支出しても、なんの問題もない」と思いますが、それに異を唱える人がいるのは事実ですから、そういうマンションでは、その人のことも考えないといけません。

そこで、そのマンションでは、その期の理事長さんが、「管理費から支出することでウダウダ言うんだったら、めんどくせえから、思い切って、コミュティ費用の会計を別途制定してしまえ」ってことで、「管理費」や「修繕積立金」の費目以外に、
「コミュニティ運営費」という項目を作ったそうです。また、そのマンションでは、「住民は全員、地元町内会の会員になることになっている」という規約があるため、「管理費会計から、町内会費**万円を支出する」ということになっていたのですが、これにも「管理費から町内会費を出すのはおかしい」と苦情を言う人がいたため、これも「別会計」にしてしまいました。

つまりは、そのマンションでは、毎月、自動振替される費目が「管理費」「修繕積立金」「町内会費」「コミュニティ費」ということになりました。(※実際には、この他にも、新しいマンションらしいものとして、CATV共聴料とかもあるそうです)

ただ、その理事長さんは、「反対票を少なくして、特別決議を通すため」に、作戦上、項目は分けたものの、「住民が支払うトータルの金額は今まで同じ」ということにしたそうです。つまりは、今までの「管理費」を「月額1万円」とすると、今後の管理費は「9600円」とし、「町内会費 200円」「コミュニティ費 200円」としたのです。合計1万円であり、今まで同じです。

これだと、事情の詳細をよく理解しない住民は、「現状維持なら、何の問題もないじゃん」ってことで、賛成票を投じるわけでして。

こうすれば、今後、「クリスマスツリーを玄関ホールに飾る」ことも、「管理費から出したんじゃないですよ」と言えるわけで。

こういう手法もいいんじゃないか? と感心した次第です。

※私は、すべてのマンションで「コミュニティ運営費」を設定すべきと言っているわけではありません。そのマンションごとに独自に考えて、自分たちで一番いいものを作ればいいじゃないか? と考えています。マンションは千差万別ですから。ただ、「いいアイデアはどんどん盗んで、自分のところで有益に利用しよう」と言いたいだけです。