管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

カバの一吠えで理事会が変わってしまう





  2018/6



大阪の大震災。被災された皆さんにお見舞いを申し上げます。

今回の大震災では非常に残念なことが起きました。



本来、「最も安全であるべき学校」の壁が倒れて、子供が下敷きになり死亡しました。ほんとにやりきれない気持ちです。

このブロック塀、素人が見ても明らかに「違法建築」です。もともと金網だったのをあとからブロック塀に変えていますが、こんなもの作るのは最初から「あかんやろ」ってレベルのもので。

「ブロック塀を設置しよう」と考えついたやつも
「設計した」やつも
「その設計を認めた」やつも
「施工した業者」も
「この壁を毎日見ていた学校の教師や主事(学校の設備関係の担当者)や保護者」も
「学校内の設備点検していた業者」も
「役所の担当者」も
「教育委員会」も

全員アホです。即、過失致死罪で逮捕して下さい。

こんな危険なものを放置して、さらに、「このグリーンベルトの中を歩きなさい」とか指導していたというんですから、そんなの「地雷原の中を歩け」って言ってるようなもんで。
ほんと、公務員というのはクソ野郎ばっかりです。全員、給料返上しろよ、って言いたいです。

さて、実は、わがマンションでも、こういう「危険な構築物」がありまして、その危険性を管理組合にも伝えて、「修繕しないとまずいですよ」と提案しているのですが、これが却下されたのです。




今、6月なんですが、4~6月というのは「定期総会」シーズンで、管理会社フロントとかマンション管理士さんなんかが書いているブログでは「総会は大変です」「大事です」といった言葉が頻出しますが、私個人は、「会議の質」ということで考えると、総会よりも、日頃の理事会のほうが大事だと考えています。

総会って事務的なことはほんと大変ですが、意思決定処理として考えると、あくまでも「多数決」であり、ある意味、民主的です。というか、普通の総会は、「議案を決めるところまでが本当の本番」であり、総会自体は、「セレモニー」に過ぎません。

さて、問題は「理事会」です。これも民主的のようですが、実際はそうでもないことが多いです。

有名な映画「12人の怒れる男」を見たことがある人は大勢いると思います。「民主主義賛歌」とも評される素晴らしい映画です。





この映画では、殺人罪に問われた少年の死刑判決に関して、「11人が有罪 たった一人だけが無罪」を主張します。
12人中11人が有罪なんだから「有罪」だろう、と普通は思いますが、無罪(というか、「有罪にするちゃんとした証拠がない」と主張)と言うヘンリーフォンダの論理的な説明により、他の陪審員は次々に「無罪」に転向します。この中には、人種差別・貧困・家庭問題など様々な要因がからまってきます。そして、最終的には12人全員が無罪で一致して、映画は終わります。

この映画では、「一人の異論」が最終的に「他の人達全員の考えを変えて、その結果、正義を守った」と言えるのですが、私のようなひねくれものは逆のパターンも考えてしまうのです。口のうまい悪人が一人いて、そいつが他のメンバーを騙して、まったく別の結論を導くことができるってことです。無実の人を死刑にしてしまうのです。

そして、これがよく起きるのが、マンションの理事会です。

普通、危険な構築物が発見されれば、理事会役員みんなが「直しましょう」と議決すると思いますが、今回、その危険な構築物は、「西棟に存在するもの」で、かつ、「大人には影響がなく、子供にとって危ないもの」でした。また、その修繕には「数十万円の費用」がかかります。

このため、「東棟に居住する役員にとっては、どうでもいいと思える」ものであり、「子供がいない家庭でもどうでもいいもの」になり、「そんなものに高いお金をかける必要はないだろ!」と押しの強い役員が大声でどなるように主張すると・・・・  他の役員が、「そうですね。そんな修繕工事不要ですね」ってなっちゃったのです。
「鶴の一声」ということわざがありますが、この時は、カバみたいなブサイクな男だったので、「カバの一吠え」と呼んでいます。(おまけに、この男性役員、区分所有者ではなく、ヒモ男だったので、本来は、理事会に出席してはいけない人でした)

一番最初に書いた大阪の学校のブロック塀にしても、あれだけ明らかにおかしな工作物ですから、過去に絶対に誰か一人ぐらいは「あれ、まずいですよ」と指摘しているはずです。でも、きっと、「学校の工作物でそんな危険なわけはない。絶対に安全なんだ」とか言うバカがいて、危険を指摘した声が消されたんだと思います。


このように理事会では、管理人や管理会社フロントが、「これは絶対に、何の問題もなく通るだろう」という議案が、「カバの一吠え」によって廃案になってしまうことが多々あるのです。でも、こういう「住民の安全を脅かすような事案」に関しては、廃案はほんと困ります。そして、管理会社には何の責任もないのに、次年度になって、役員が変わった際に、「なんで、あんなに重要な案件を放置してたんだ。人が死んだらどうするんだ!」とか、怒られるのです。本当はカバの責任なのに・・・・


理事会の議決も、いちおうは「多数決」なんですが、大声を出して、論理よりも迫力で押すような人がいると、「あの人がああいっているから、やめましょう」ということになりがちです。特に小心者の理事長の場合、「多数決で決めていい」のに、「やっぱり、全員一致で決めたいので、Aさんが反対するのであればやめましょう」とか言い出しがちです。

こうやって、大事な案件が葬り去られたりするのです。

特に、「1年任期」「輪番制」「毎年全員が入れ替わる」という制度のマンションでは、年度が変わったばかりの新メンバーによる理事会は要注意です。
「初めて会う人ばかりで、その人の人となりが全然わからない状態」
これはちゃんとした議論ができません。回数を重ねてくると、「この人は声が大きいだけで、実は全然論理的ではない」とか「自分のことしか考えていない」とか「自分の意見を持たず他人に流されやすい」とか、ある程度、性格がわかってくるので、「どうせ、あの人の言うことはあてにならない。適当にあしらおう」とか考えられるのですが、人間性がわかっていない状態では、どうしても、「声の大きさ」とか「態度の大きさ」とか「自己主張の強さ」に負けてしまいがちです。

おまけに、新年度の最初の頃の理事会では、「前年度の役員が逃げてきて、次年度繰越になった、大事な案件」があったりします。そういう大事なものを「カバの一吠え」でおじゃんにしてもらっては困るんです。

皆さんも、カバには注意しましょう。(実際のカバは、そんなに大きな声でけたたましく鳴きませんけどね)








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