管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

駐車場は余り バイク置き場は不足





2018/11


マンション内の駐車場が余っている傾向が顕著になってきました。
これは「マンション築年数の増加に伴い、住民の高齢化により、車に乗る人が減った」という自然減少だけではなく、アベノミクスの大失敗により、みんな経済的に苦しくなり、車に乗る人が減ったというのが大きな要因だと思われます。


そんななか、近所のマンションで大掛かりな工事が開始されました。

それは、「駐車場が余って困っている」ために、「3段式の機械式駐車場」を、機械を撤収して、地下部分を埋め、「平置き駐車場」に変えて、背の高いクルマも置けるようにするという、けっこう大変な工事です。

当然、置ける台数も減るわけで、駐車場収入は激減しますし、この工事にかかる費用も莫大です。ただし、今後のメンテナンス費用はほぼゼロになりますし、今まで置けなくて、外部駐車場に置いていた「背の高いクルマ」が置けるようになります。出し入れにかかる時間も短くなります。鍵も不要です。

「どっちが得か?」「今後の長期的展望も考えてどうすべきか?」、相当議論があったそうですが、「埋戻し〜平置き」を決断したそうです。管理組合も大変だったと思います。

また、別のマンションでは、空き駐車場に悩み、Tim*sとかいう駐車場業者に5台分を貸し付けて、コインパーキングにしたところもあります。今、こういうのが増えているようです。ただ、このマンションの駐車場は、建物の中を突っ切って、奥の方に位置しており、車庫入れがちょっとむずかしいので、初めてここを来訪した運転手には難儀な構造で、「マンション内での交通事故が増えた」という弊害が出ているそうです。まあ、もともとコインパーキングとして設計したわけではないですから、こういう不具合も当然あります。なかには「最初からバックで入ってきて下さい」なんて表示をしているマンションもあります。これは、よほど運転のうまいドライバーじゃないと難しいと思います。
※外部貸しする場合は「税務処理」というのも大変です。事業所得になりますから。

そうやって、なんやかんやと、「駐車場の余り」に対して努力をしているわけですが、一方で、「バイク置き場」に関してはどこも不足しているようです。

まあ、「経済的理由等で、仕方なく車を手放した人」というのは、「それじゃあ、これからは歩きます」とは簡単にはならないわけで、「車の代わりに維持費の安いバイクに変えました」という人が多いのです。特に、ここのような地方都市では、ショッピングセンターに行くにしても、徒歩では行けませんから。

かといって、「原付バイク(50cc)」の乗換える人は少ないです。50ccは制限速度が30kmで、今まで車に乗っていた人にとってはストレスになりますし、「二人乗りNG」というのもつらいところです。(また、排ガス規制、ABS装備必須など、製造コストがかかるようになり、バイクの価格が高騰していて、昔のように安価に50ccを変える時代ではなくなっています)

そこで、ちょっと前までは、250〜400ccのビッグスクーターに乗る人が多かったのですが、不況が深刻化し、今は、「より維持費が安い」「任意保険料も安い」「AT免許の制定及び教習日数の減少で、より一層取りやすくなった小型二輪免許の制度」ということで125ccのスクーターに乗る人がけっこう増えてきているようです。

しかし、マンションの「バイク置き場」というのも、建築時の設定台数がもともと少ないですし、バイクといっても、「ミニバイク置き場」となっていて、50ccのバイクの大きさを基準に作られており、125ccのバイクが置けません。(置きにくい)
そして、今は、125ccのバイクの車体が以前よりも大きくなっており、125ccだけど250ccのスポーツバイクと投影面積はあまり変わらないという状況になっており、125ccバイクを置く場合は、それ専用の、ある程度の広さのある置き場を用意する必要があります。
でも、現在の分譲マンションの設計では、そういう社会情勢が考慮されておらず、新築のマンションでも、最初から、「駐車場が余っている」「バイク置き場が足らない」という現象が起きています。

当マンションでも、「高齢化」によって、自転車に乗る人も減って、自転車置場が余っている状況なので、「自転車置場を改造してバイク置き場に変えたらどうですか?」という提案を私からずっと行なっていますが、単年度の役員は面倒なことを嫌い、そういう改革はまったく進まず、「ここには置けないです」という場所に無理やり125ccバイクを置く住民が数名いて困っている状況です。

よそでは、「駐車場を潰して、125ccのバイクが置けるようにする」という計画を考えているところもあるようです。


こういうのって、一回変えると、容易に元に戻すことは難しいので、長期的な社会情勢を読む必要があって、とてもむずかしい案件ですが、現状のままほっておくこともできないわけで。よく調べて臨機応変な対応が必要だと思います。

とにかく、当マンションでいうと、ここ数年、新規に入居してくる人の中の半分以上が「バイクを置きたいんだけど」という質問をしてくる状態になっています。


雪国ではバイクの需要は少ないでしょうが、そんなに雪が降らない当地では、やはりバイクの需要があります。


高齢者住民のための福祉サービスでバイクに乗って通ってくる人もすごく増えており、警察のシノギのために、バイクであっても、駐車違反取締が非常に厳しくなっていて、「敷地内に置かせてくださいよ」と言われており、「来訪者用のバイク置き場」の必要性も高くなっています。