管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
火災報知器が鳴ったのに、反応した住民はほんのわずか |
昨夜午後9時頃のことです。(夜ですから管理人は不在)
火災報知器がマンション内に鳴り響いたそうです。
警備会社に自動通報されたので、発報から20分後には警備会社が到着し、かつ、近所の人(当マンション住民ではない)が119通報したようで消防隊も来たそうです。
両者が現場状況を確認し、「火災は起きていない」「東棟の2階の火災報知器のボタンが押されていた(※残念ながら、ここが映る防犯カメラはなし)」「おそらくいたずらだろう」ということで、一件落着となったようです。
翌朝、私がマンションに出勤し、机の上に、警備会社のスタッフが書いた報告書が置いてあったり、顔を合わせた住民が「昨日、何があったの?」と聞いてくるため、それで、発報があったことに気が付きました。
まあ、この警備会社の報告書をそのまま理事長に渡せば、それで事務処理はいいのですが、私としては、「住民に対して、何があったのか、今後どうしたらいいのか? 等を説明する書面を掲示したい」「詳細な事情を調べて、きちんと理事長に報告したい」という考えがあるので、「防犯カメラ映像で、その時間に、怪しい人間が出入りしていないか?」調べましたが、そういうのはおらず、おそらく、クソガキの内部犯行かと思われます。また、管理室の前を通る、顔なじみの住民数名に声をかけて、昨夜の状況をインタビューしました。
すると、ちょっと気になることがわかりました。
「マンション内全体で大きな音で警報機が鳴っているのに、ここの住民は特に気にせず、自室の外に出て様子を伺う人はほんのわずかしかいなかった」
「玄関ホールに集まってきた人も二人しかいなかった」
「むしろ、ご近所さんのほうが気にしていて、マンション前の道路には30人くらいのご近所住民が集まっていた」
夜中の2時とかならわかりますが、まだほとんどの人が起きているはずの午後9時で、建物全体で500名以上はいるはずのこのマンションで、この様子はちょっと異常です。
それに、さらに気になったのは、「え? あの警報って、お向かいのマンションじゃないの? うちだったの?」と言った住民がけっこういたことです。つまり、「自分のマンションで火災警報が鳴っていることに気がついていない」ってことで、これは怖いです。
以上のことから私が思ったのは、「うちの住民は、このマンションの火災警報器の音がどんな音でどんなふうに聞こえるのかをわかっていないんだな」ってことです。
まあ、民度の低い地域で、さらに最悪の民度の住民が集まっている当マンションですから、こんなことになってしまうのでしょうが、それにしてもひどい話で、本当の火事だったら、死者がものすごい数になりそうです。
そういう感じなので、あれこれ考えてみたのですが、「消防設備点検の手法に問題があるのでは?」と思いつきました。
消防設備点検は法律で「年に2回」(厳密に言うと、2回の中の点検内容は微妙に異なるが、今回はパス)やらないといけないことになっていて、毎回、火災報知器の鳴動試験というのをやりますから、その際に、報知機をわざと作動させ、ベルを鳴らします。
この報知機は全部で40ケ所くらいありますから、これを一個一個鳴らすと、点検の間はかなりうるさくなるものです。この「うるささ」を嫌がる人が苦情を言ったりするため、今来ている「点検業者」は、この鳴動試験を、ものすごい短い鳴動時間で行なっているのです。
昔、来ていた消防業者は、ひとつの警報機について、5秒間くらい「ジリリリリリリリリ・・・・」と鳴らしていました。これが40個ですから大変です。ただ、この業者の係員曰く、「3秒以上は鳴らさないとだめです。最初の1秒だけなって、鳴動が止まってしまう機器もあったりするので」と言ってましたから、たとえ「うるさい」という苦情が来ても、「5秒間」鳴らしてました。
この苦情はマンション内だけでなくご近所からも来ます。ですから、私のほうで考えて、点検の数日前から、「外部向け」に「点検の予告」の大きな紙を貼り出して告知をしておきました。なお、当日に、「これから鳴動試験を行う」という時は、メガホンを使用して、「これから鳴りますが試験です。本当の火事ではありません」と予告もしました。
それが今の業者は、「苦情が来ないように、うちは短くやります」と言って、実際には「0.5秒」くらいしか鳴らさないのです。これだと、死にそうなアブラゼミが最期に「ジ!」と一瞬鳴くような感じで、「火災報知器が鳴っている」という感じはしません。ですから、たしかに苦情は来ません。でも、どうなんでしょうかねえ? 業者自身が「早く作業を終えるように」、という理由で短くしている面はあると思います。
私自身の感想も、「これじゃあ、点検している気分にならない」と思ってますし、上述のとおり、「一瞬鳴るがすぐに消えてしまう」という不具合のある警報機を発見することができないと思います。(今、当マンションの集会室の中にある、防災用のラジオも、古くなって、スイッチを入れた瞬間の1秒だけ音がするが、その後音が消えてしまい、ラジオの意味がない、という状況です。それなのに、新しいのを買ってくれません)
今の消防設備業者のこの点検方法が何年も続き、当マンションの住民は「火災報知器の音の鳴り方」を忘れてしまったのかもしれません。
いっぽうで、ご近所のマンションの消防設備点検は、毎回「5秒くらい鳴らす」方式です。でも、ここは管理会社がだめで、外部に対する告知をしてくれないので、毎回、うちの住民から、「うるさい!」と苦情が来たり、「火事なの?」という質問が来たりして、その都度、「うちじゃなくて、あそこのマンションですよ」と答えているので、うちの住民も「火災報知器鳴動=あそこのマンション」と刷り込まれてしまっているのかもしれません。
そういった経緯で、今回の発報を「自分のところではない」「近所の別のマンションだろう」とか思い込んでしまったのではないか? と推測しています。
でも・・・・
これ、まずいですね。本当の火事が起きても、誰も「うちじゃない」と思って避難しないってことですから・・・・・
なんとかしないと。