管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

外部居住の組合員が理事長をやってる

2019/4

本当は規約改正が必要なんだけど・・・






今回の記事は「規則至上主義」の人は激怒するようなお話です。

「管理組合の役員のなり手」

どこのマンションでも苦労していると思います。
「1年任期」「輪番制」なんだから、なんとかなるでしょ?
と言われるかもしれませんが、「賃貸にして出ていってしまう区分所有者がいっぱいいる」「後期高齢者ばかりになって、”あたしには無理だよ〜”と就任を拒否する」などなど・・・・ 輪番制すら維持できないケースが増えています。

そこで、うちの会社で取り扱っている某マンションでは「このままでは来年の役員が定足数に足らない」ってことで、「賃貸にして、別のところに住んでいる人にも頼もうよ」ということになりました。

これ、もともとの管理規約では、「理事又は監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する」となっているので、本当はできません。しかし、国交省が標準管理規約の改正を行ない、そこでは「理事又は監事は、組合員のうちから、総会で選任する。」とされており、「○○マンションに現に居住する」という現住要件が撤廃されています。
この改正に乗って、「外部の人にも役員になってもらおうよ」となったわけです。

ですから、時代の流れには合致してますが、おおもとの前提条件として「現管理規約の条文を改正する」ことが必要になります。幸い、外部に声をかけたら、「やってもいいよ」という人がいたので、管理会社としては、この人を役員に内定し、その議案と、「管理規約を改正し、“現住”という文字を抜き取る」という議案をいっしょに可決させて、新役員を就任させる手としました。

ただ、「管理規約改正」は「特別決議」のため、可決のハードルが高いです。管理組合も管理会社もそんなに一生懸命に票を集めなかったので、この特別決議が可決できませんでした。でも、普通決議である「新役員の選任」は可決されまして・・・・・

なんか「矛盾」が生じたわけで。
ここで、規則至上主義の人なら当然「規約改正ができなかったんだから、役員選任も無効になる」と言いたいところですが、管理組合も管理会社も「あの外部の人が就任してくれないと困る」という事情があり・・・・ 管理組合もまったく規約のこととか気にしていないため、「別にいいじゃん。規約なんて」「規約なんて、この住民、誰一人読んでないよ。だいたい、俺だって規約冊子なんか見たこともねえもん」「選任の議案が可決したんだから、それでいいだろ」「標準管理規約が変わったんだから、それでいいんだろ」ってことになり・・・・ 管理会社も「来年可決すればいいか」と思ったのか、結論として、外部の人が役員になってしまいました。

そして、この外部の人がすごくいい人で、かつ、じゃんけんが弱く、「理事長」になってしまいました。

なんかすごいことなんですけど、「管理規約に違反している人が理事長になっている」という現実が発生したのです。そして、これに対する指摘など一切ないため、そのまま理事長職を全うしてしまったわけで・・・・・

そして、なんとなんと、翌年も、「次期役員のなり手がいなくて大変」という状況で、「だったら、僕がもう1年やろうか」って言ってくれて。「でも、規約を改定しないとまずいですよ」と管理会社フロントが指摘しましたが、「このマンションで特別決議は難しいから、いいんじゃないの? 現に、誰も文句を言ってないわけだし」ってことで理事会がまとまり、その年も「管理規約改定」は行われず・・・・・・

そう、「違法状態のままで、外部居住者が理事長を、またやっている」わけです。まあ、外部といっても「隣町」なので、理事会も徒歩で来てるんですけど・・・・・


こんなこと書くと、非難轟々だとは思いますが、現実に「これでうまく行ってるんだからいいじゃねえか」ってことが世の中にはあるわけでして。。。。

まあ、実際、うちのマンションでも、「区分所有者ではない、妻が、実際には役員としてやっている」という例もいっぱいあるわけで、これも厳密には「規約違反」なんですが、誰一人、そのことを指摘する人はいないので、そのままやってます。

規約を厳密に守ると、「総会議案で、監事職の氏名を出さないといけない」のに、それをしないで役員選任議案を作っているマンションもいっぱいあるわけでして、「現実」と「規則」というのは、このように乖離することはよくあるのです。