管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

最新の宅配ロッカーが素晴らしい
この発想があったか!



2019/12



年末 12/27(金曜)。 
うちはまだまだ働かされますが、マンションによっては、「今日は、管理人の最終勤務日」というところがあり、そこに、「年末の挨拶」を兼ねて行ってきました。

そうしたら、そのマンションの玄関ホールに、上記写真のような
「宅配ロッカー」が設置されていたのです。

その管理人さんに話を聞くと、「きのう業者がやってきて、2〜3時間でパパパっと設置していったよ」とのこと。
「でも、宅配ロッカーって、電気の配線とか、電話回線で本社につなぐとか、設置工事は大変じゃないの?」
「いやいや、そんなの全然関係ない。これ、電気を一切使ってないもん」

「え? そうなの?」
と、東急リバブルのCMのセリフのように驚きました。

さて「宅配ロッカー」といえば、新しいマンションでは必須の設備です。あったらすごく便利ですし、今問題になっている「宅配便配達員の仕事の効率化」に関しても「切り札」と言われており、今は、一戸建てでも設置するケースが増えています。

ただ、製品そのものの最新知識は私も持っていませんでした。(マンション管理の専門家のようにふるまっていますが、その知識なんか浅はかなもんですよ)

自分の居住マンションにも宅配ロッカーがありますが、それは、
「全世帯の住民が自分専用のカードを持っていて、それを機械に挿入すると、ロッカーのドアが開き、荷物を受け取ることができる」
という方式です。
これはこれで便利なんですが、電気製品なので、機械が古くなってくると、いろいろと故障が発生し、「急ぎの大事な荷物なのに受け取れない」なんてことがしばしばあります。ロッカー管理会社のシステムエラーなんてのも起きました。また、電気製品ですから、当然、停電時はアウトです。大震災の時は往生しました。
そして、毎月一回点検が必要で、維持管理コストがけっこうかかっています。(機械とロッカー管理会社の間の通信の費用もかかっているはず)

そういうわけで、私自身は、宅配ロッカーは「便利」だけど、「維持管理が面倒、コストもかかる」という印象を持っておりました。

ですが、この最新式の宅配ロッカーは全然別物でした。

「電気をまったく使用しない」
「電気部品はない」
「通信関係の回路もない」
という、いたってアナログなものです。

この時代、「最新式」と聞くと、ハイテクな電気回路があって、スマホをかざすと箱が開く、箱が開くと配送業者に自動的に通報される、とか、そういうのを想像しがちな固定観念があります。
しかし、これは、それとは逆の発想でした。

仕組みはこんな感じです。超アナログです。

「宅配業者は、ボックスの中に、荷物を入れる」
「ボックスの扉を閉じる」
「機械式の4桁の数字のダイヤルがあるので、それを手動で、自分の好きな任意の4桁をセットする」
「その4桁の番号を、住民のポストに投函する”不在票”に記入する」
「ボックスの扉の表面にあるスイッチを手で左に回してロックする」
「ロックと同時に、数字のダイヤルはすべて”0000”になり、他の人は、何番にセットしたのかはわからなくなる」
「不在票をポストに投函して完了」

ここで問題になるのが、電気式だと自動的に発行される「受領証」なんですが、この機械には、上記写真の「丸いボタンのようなもの 押す と書いてある」があって、これが、シャチハタスタンプのようになっているのです。この部分に伝票を差し込んで、「押す」を手で押すと、受領印が印字される仕組みです。これで配達員は、「配達した」という証拠を残せるわけです。(まあ、いろいろと悪用される可能性はありますが、まあ、今回は性善説でいきましょう)

そして、マンション住民は、自分のポストに入っている「不在票」を見て、そこに記載されている「4桁の番号」を、手でダイヤルを回して、揃えて、すると箱が開いて、中の荷物を手に取ることができます。そういう仕組です。
(この番号が、高齢者の老眼には小さいので、もし、うちのマンションに導入したら、機械のそばに老眼鏡を置く必要があるかな?)

説明を受けてみたら、「なるほど」「そうか、それでいいんだ!」と、バカボンパパに説得されたように、ガッテンしました。

この方式についての長所短所に関しては、メーカーのHPでわかりやすく解説されています。(「メカ式」というものが、これです)

短所としては、
「不在票を他人が手に入れると、そこに番号が書いてあるので、容易に、その品物を盗まれる」
「荷物を箱に入れた、いつ配達したか? デジタル的な記録が残らない。」
「だから、何日も放置される可能性もある」(通信回路がある機械の場合は、2日くらい経過すると、センターから該当住民に対して、「早く受け取って」と催促の電話がかかる)
「配達人が、自分がセットした番号を転記する前にど忘れすると万事休すになる」(ただし、管理人がマスターキーを持っているので非常時は開けられる)
「住民が4桁の番号をセットするのが面倒」
なんてことがありますが、

長所
「本体価格が安い 設置費用も安い」
「通信回路とか電源の有無が関係ない」
「だから設置する場所を選ばない」
「だから、古いマンションにも設置できる」
「維持管理にほとんどお金がかからない」
「故障しにくい」
「1台が壊れても、他の箱は使用できる」

この長所は大きいと思います。

今、勤務先マンションでは、管理人業務の中に「荷物の預かり」というのがあって、お歳暮の時期は、不況とはいえ、それなりの数の荷物を預からないといけません。日持ちのしない物だと、扱いに困るし・・・ そういう仕事がなくなるのはうれしいです。
時々、住民から、「なんで、ここは宅配ロッカーがないの?」って言われるので、今後、これを推薦しようと思います。

しかし、最新式が超アナログって、「逆転の発想」でした。
勉強になりました。