管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
住民からいろいろと貰い物をしますが ほとんどは横流しします |
最初にお断りしておきますが、管理会社のルールとして、基本的に、管理人は住民様からなにかをもらうことはできません。
なので、住民がなにかを管理人にくれようとした際は、「規則なんで受け取れません」とお断りします。しかし、「俺の誠意を受け取れないのか!」などと激昂する人もいますので、そういう場合、怒らせてはいけませんから受け取ります。
そして、いろいろな経験をした上で、今の処、私の手法としては、「最初の一回目は受け取りを断る」「しかし、2回目は受け取る」ということにしています。ダチョウ倶楽部さんに似ています。これも、ルール違反なんですが、穏便に済ませるのはこういう方法をとって、住民との間に良好な関係を構築していかないといけません。
さて、当HPやブログで、「ここの住民はろくでなしばっかりだ」と悪口ばかり書いておりますが、大規模なマンションで大勢の住民がいて、いろいろな問題が起きていると、それを解決すると、けっこう、いろんなものをもらってしまいます。
「管理人のことを気遣ってくれるすごくいい人」もいますし、特に高齢者の場合ですが、「なにかをしてもらうと、ちゃんとお礼をする習慣になっている人」もいます。また、住民ではなく、関連する業者さんからの贈り物もあります。
そうやって考えると、「けっこういろいろなものをいっぱいもらっている」のですが、これらのほとんどは、ムーディ勝山方式で、私の前を、「右から左に」消えていきます。そう、横流ししているのです。といっても、全然儲からない横流しでして。
もらったものは私のほうから別の人に渡します。
一番頻度が大きいのが、ゴミ収集の係員です。
「これ、本当は粗大ゴミなんだけど、そんなに大きくオーバーしてるわけじゃないから、なんとか、普通のゴミで持っていってくれないかな?」
「だめです。規則は規則です」
なんて時に、「缶コーヒー3本とお菓子を数個」、すっと渡すのです。
「うん、まあ、そうだね。いいか。でも今回だけね」
なんて感じで持っていってくれます。ある種、賄賂です。でも、うちのマンション、ゴミ出しマナーが最悪なので、こういう賄賂が大量に必要なんです。このため、住民からいただいたものは、保管をしておいて、すぐに取り出せるように常に準備をしておきます。
それから、当地区は犯罪が非常に多く、警察が「おたくの防犯カメラ見せてくれ」なんて言ってやってくることも多いです。
防犯カメラの映像を見るのって、かなり時間がかかりますし、目も疲れます。そして、操作を警官1人にはできないため、管理人もつきあいます。管理人も疲れますし、のどがかわきます。
そんなときにも、「良かったらいっしょにどう? これ、もらいものだから気にしないでいいよ」と言って、ペットボトルとお菓子をあげたりします。これは賄賂とかではなく、「犯罪地域の担当になって大変だね。お疲れ様」という、あくまでも「気持ち」です。管理人1人でジュースとか飲んでいるのも申し訳ないので、「いっしょに飲もうよ」っていう感じです。
さらに、こんな用途もあります。
一般の一戸建てのお屋敷なんかで、植木屋さんを頼んで剪定をしてもらう際、「休憩時のお茶とお菓子」は、注文主が用意するのがマナーです。
これと同じで、マンション管理会社が発注主で、下請け業者さんになにかの工事とかをお願いする場合、ちゃんとした管理会社は「3時のおやつ 飲み物」を提供します。そういう、「業界の習慣」になっているのです。
しかし、うちの会社は、経営者が無知なのか非常識なのか、そういうことをしない会社でして。
時々、現場の職人(特にベテラン)が、「普通は施主のほうが用意するもんだがなあ〜」といやみったらしく独り言を言います。
これが嫌らしいんです。しかし、会社は用意してくれません。
(※こういう必要経費もあるから、管理会社は下請けに仕事を任せる時に、2割とか3割の手数料を上乗せするんです)
そのため、「管理人が用意する」ことになります。なんで管理人が自腹を切らないといけないのか? まあ、無視して出さなければいいんでしょうが、私も鶴田浩二ばりに古い人間なんで、こういうのはきっちりしたいので、やってしまいます。
ただ、やっぱり、自腹は切りたくないので、もらったものをいろいろとストックしておいて、こういう時に使うのです。
住民の中には、「管理人がトイレのつまりを直してあげた」なんて場合、「業者に頼めば1万円はかかるのをただでやってくれたから」と言って、2千円の現金をくれたりすることもありますが、これも、専用の貯金箱の中にタメておいて、こういう工事とかの時に、茶菓代として使用します。
というわけで、あれこれいろいろと住民様からもらっていますが、そのほとんどは、上手に横流しして、円滑な業務遂行に役立てている次第です。
「私腹を肥やす」なんてことはないのです。
※こういうのはあくまでも私だけの場合の話です。よそは知りません。