管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

新入居者とご近所さんの顔合わせ会




管理組合で制度化できないもんでしょうか?
2023/3



 あるマンションで、今回の話の元ネタになるようなことをやってまして、今回は、それをちょっと広げてみて、「こういうことが管理組合でできたらいいなあ」という願望を書いてみます。

 マンションを買う人って、「人付き合いが嫌い」「他人に干渉されたくない」という気持ちでマンションを買う人が多いですが、実際のマンション生活は、区分所有法という法律で「管理組合の設立」が義務となっていますし、騒音問題、共同で利用する設備がある等々、実は、めんどくさい「集団生活」であり、「一人で好き勝手に暮らせる」ものではありません。
 俳優のT内涼真さんは、マンション内の駐車場に入らない巨大な外車を持っているため、マンションの敷地内で長時間の無断駐車をして、他の住民から煙たがられていますが、こういう人は、駐車場の心配のない「一戸建て」の住むべきだと思います。

 さて、マンションのトラブルで非常に多いのが「騒音問題」。これがこじれる理由のひとつが「お互いに知らない者同士である」という点。もし、上の階の家族が「元気なちびっこがいて走り回っている」ってことがわかっていれば、「まあ、しょうがないなあ。子供だから」と矛先を納めることもできるかもしれませんが、「どんな人なのか全然知らない」と、騒音がいっそう気になるものです。
「誰かが叫んでいて心配。もしかして犯罪???」なんていうのも「あの部屋のおじいさんが認知症で時々叫ぶことがある」というのがわかっていれば、多少は安心です。
「上の階の部屋は空室で誰も住んでいない」という情報があれば、「上から騒音がする。真上の部屋の人間だ!」などと怒ることもないですし。(※騒音というのは不思議なもんで、真上から聞こえていても、実際は、騒音源は斜め上の部屋だったりします。音の伝わり方ってややこしんです)

 そう、「知らないがゆえにこじれる」という点が大きいのです。でも、今は、「隣の部屋にどんな人が住んでいるかも知らない」「表札すらないので、名前も知らない」なんていうのが当たり前の時代。人間関係が希薄というかまったくないことも普通になってきました。

 昔なら、引っ越しして新しい部屋に入る際には、管理室に挨拶に行ったり、両隣の部屋を訪問して、粗品を渡して、「よろしくお願いします」と挨拶したもんですが、そういうことをする人もめっきり減りました。




 私、個人的な考えですが、もし、新入居の人が「お隣さんに挨拶に行きたいんですが、いきなりだと不審者扱いされて、ドアも開けてくれないかもしれないので、管理人さん、いっしょに行ってくれませんか?」と頼んできたら、喜んでお連れします。管理人としては、住民同士が良好な関係を気づいてくれたほうが管理がし易いですから。でも、現在の管理会社の制度では、これは「NG行為」ですね。

 そこで、管理組合が中心になって、こういう「顔合わせ」を斡旋したらいいと思うのです。役員さんの中で、こういう仕事の担当を作って、その人が仲介になって挨拶に行くようにシステム化するといいと思うのです。落語に出てくる「長屋の大家さん」みたいな感じです。
その際は、両隣だけではなく、騒音問題や漏水事故の際に関係が大きくなる「上下の部屋」にも行って欲しいと思います。
こうすれば、斡旋してくれた人が役員ですから、「理事会の役員の顔を全然知らない」といういことはなくなって、とりあえず、顔見知りの役員が一人誕生するわけで、組合に関することで、何かあった際に、その役員のところに話に行くこともできるでしょう。

管理組合の運営を考えると、それこそ、集会室に「新入居者Aさん一家」「右隣Bさん一家」「左隣Cさん一家」「真上の部屋Dさん一家」「真下の部屋Eさん一家」全部を一同に集めて、「顔合わせ会」みたいなのを開催して、親交を深めてもらうだけでなく、ついでに管理組合のことを説明して「ぜひ、来年は役員に立候補して下さい」と勧誘するのもいいかもしれません。その際は、管理組合の費用で、「お茶とお菓子」くらいは提供してもいいんじゃないかと思います。なんにもないと来てくれないだろうし。

いろいろなマンションを見てますが、組合がうまく機能しているところは、なんらかの「コミュニティ活動」をやっているところです。「お祭り」「イベント」「防災活動」などなど・・・ 要するに、「みんなが集まって顔を合わせて会話する」、これが大事だってことです。
そういうのが何もないと、「お隣さんが孤独して3ケ月も放置されて死体が・・・・」なんてことが起きてしまうのです。

というわけで、「管理組合主催の顔合わせ会」、こういう制度があるといいなあと思った次第です。

※もちろん、参加者には強制はしませんけど。コミュ障の人だっていますからね。