管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

シン原付バイク・電動キックボードの出現
マンションもアップデートが必要


古いままの設備や規約や細則では対応できませんよ





2024/3



その1「電動キックボードの駐輪場の問題」

 
管理規約や駐輪場使用細則を「電動キックボード」に対応させているマンション、現時点でどのくらいあるでしょうか? (2024/3)


電動キックボードなんていう、非常に危険な乗り物。なんで認可しちゃったんでしょう? 政府&警察に変な圧力がかかったんだと思いますが、こんな危険で周囲に迷惑かけまくりで、かつ、どういう規則になっているのか複雑怪奇で、警察官すら理解してなくて適切な取り締まりもできない、ややこしい乗り物、最悪だと思います。(危険なのに、ヘルメットしなくていいし)

免許や交通法規などの話は別の人に任せるとして、今回は、マンション内に電動キックボードを置く話。

電動キックボードって、「外形サイズ」だけ考えると、普通の自転車よりも投影面積が小さく、立体式とか機械式は無理だけど、「普通の平置きの自転車置き場」には問題なく置ける大きさです。

「置けるんだから自転車置き場に置いてもいいだろ」という考え方もありますが、法的には、「特定小型原動機付自転車」というものになり、「ナンバーが必要」「灯火類が必要」「自賠責に強制加入」など、「自転車」ではなく「バイク」の分類に入ると考えられます。

となると、「自転車置場」という名称にしている駐輪場では、置いてはまずいのでは? と考えられます。

私は、電動キックボードの規制緩和が言われていた時から、管理組合に対して「いずれ、当マンションでも購入する人がきっと現れるから、今のうちに規則類の制度変更をしておかないとまずいです」と繰り返し提案してきましたが、毎回、完全無視。
組合は何もしませんでした。

そして、ついに・・・・・・
何の予告も相談もなく、若い住民が管理室に来て、「電動キックボードを買ったから登録ステッカーをくれ」と言ってきました。
そして
「今どこに置いてあるんですか?」
「自転車を処分して代わりに買ったから、自転車置き場に置いてある」
とのこと。

これ、まずいです。自転車駐輪場の細則では、置けるのはあくまでも自転車です。
現状の規則類で拡大解釈するにしても、どっちかというと「小型バイク置き場」のほうに置いてもらうべきものです。しかし、小型バイク置き場には現在空きがありません。

そして、登録してステッカーを貼るにしても、駐輪場使用料はどうするのか? 自転車と原付では料金が変わります。

管理人の一存ではまったく対応できない案件で、すぐに理事長に報告しましたが、またもや、完全無視。
無視と言っても、「現状、自転車置き場に置いてあるのを黙認」すれば、それを見た他の住民が「自転車置き場に置いていいのか。じゃあ、うちも買おう」と思って後続する人が必ずでてきますから、放置は困ります。お金の問題もはっきりさせないとまずいし。

管理組合が、管理会社のアドバイスに従わないからこうなったわけで、こっちとしては「すべて管理組合の責任、うちは関係ない」と言いたいのですが、この電動キックボード、困った欠点を発見しました。それは、

「ちょっとした風や接触で、すぐに倒れる」
ということ。

現物をじっくり見たところ、「スタンド」に相当する金属部品が後輪のところについているのですが、それがものすごく小さくて短いのです。だから、すぐに倒れます。

このため、右隣の人の自転車にもたれかかることが多く、おまけに右隣の自転車が競技用の高級品らしく、「ぶつけられた。修理代に5万円くらいかかるぞ、弁償させろ!」と叫んでまして。。。。。

とても困っています。

こういうことになるから、早めに対応策を考えておかないといけないと、何度も進言してるのに無視するから・・・・・

組合は直接矢面にたたないから気楽だけど、直接対応する管理人の身にもなってよ。ほんと。

<おまけ 違法モペットの問題>

「電動アシスト自転車」というのは、皆さんご存知で、街なかを多数走ってますが、これはあくまでも「アシスト」であり、「ペダルを漕ぐ」動作自体は必要で、そのため、「自転車扱い」になっています。
しかし、最近、「ペダルもついていて、見た目は電動アシストなんだけど、実際には、漕がなくても、スイスイ走っていく電動バイク」が出現しています。通称「電動モペット」と呼ばれています。
※詳細はこのニュース記事を御覧ください。

これがまたさらにややこしいのです。この自走式の電動自転車は、法的には「原付」扱いで、免許もナンバーも保険も必要なのに、そういうのを隠して販売する悪質業者がいて、さらに、違法だとわかっていて、そのまま乗る消費者もいて・・・・

今の日本、無法地帯なんです。私も、よく、この「違法モペット」を見かけます。ナンバーがついておらず、見た目は自転車なので、周囲が気づきにくく、警察も摘発しないで見逃してますが、歩道も車道もお構いなしにビュンビュン走るし、信号は無視するし、ライトはつけないし、国道を逆走するし・・・・ヘルメットはしてないし。頭のおかしな高齢者の運転以上にひどいもんです。

これ、ナンバーがついてないことから、マンションでも「一般の自転車置場」に置いている輩がいるようでして。。。。

自転車としては少し大きいため、両隣から「じゃまだよ」と言われ、法律のことに詳しい住民からは「あれ、ナンバーついてないぞ、違法だぞ。警察に通報しろ」と言われ、対応する管理人が困っているそうです。

ナンバーをちゃんとつけて適法にしたとしても、乗っている人は「これは電動自転車だから、駐輪場に置いてもいいだろう? 駐輪費も自転車だよね」とか言いそうだし。「いや違う! 原付バイクと同じだ!」と正しいことを主張する住民と揉めるのは必至です。

こういうトラブルが置きないように、管理組合で、細則を今の時代に合わせたり、そういう改定作業が必須だと思います。



その2「シン原付が誕生します」

 
「原付免許で125ccのバイクに乗れるぞ!」なんてことが言われてた問題。詳細が明らかになってきました。でも、これがまた非常にややこしいのです。

普通免許を取ると自動的にオマケでついてくる「
原付(原動機付自転車)免許」で乗車できるバイクの排気量は、現在は「50cc以下」に規定されています。今回警察庁が発表したのは、これを125cc以下(現在、運転は普通二輪小型限定免許以上が必要)まで引き上げようというもの。ただし最高出力は、本来の125ccバイクが出せるパワーを大幅に抑えて、4kW[5.4ps(馬力)]までに抑制します。

そして、以下が非常に大事なポイントなんですが、現在の原付50ccの
「30km/h速度規制」「二段階右折義務」「2人乗りの禁止」はそのまま維持されます。

バイクに乗っている人間からすると、なんとも意味不明の「アホかいな?」という改革になります。
「普通免許に自動的に付属される原付免許で、125ccが乗れるようになる」と期待していた人たちにとっては、訃報みたいなもので、非常に残念な内容です。

まあ、おそらく、「自動車教習所に多くの人材を天下り&再就職させている警察」とすると、「教習所の仕事をなくしてはまずい」「”30キロ以上のスピードを出したい””二人乗りしたい”という人は、やっぱり、自動二輪の免許を取らないといけない」にしないと困るわけで、こういうへんてこな改革案になったんだと思います。

今回の案が実現されると、原付の定義が変わり、排気量が125ccになりますから、当然、エンジンが大きくなります。「車体も少し大きくなる」「エンジンのパワーは今までの90cc程度の力がある」「それなのに、30キロの速度制限」ということになり、今まで以上に「絶対に30キロ制限などきちんと守るライダーはいない」「みんな飛ばすから事故が増える」ということになると予想されます。また、メカに強い人間だと、今でも「原付の60キロリミッターを解除して80キロとか出す」行為をしているんですから、当然、シン原付でも同じような違法改造をするでしょう。

なんともバカバカしい改革案です。

話を戻すと、今回の改革案の「原因」は、排ガス規制です。「50ccの小さなエンジンでは、新しい排ガス規制をクリアする新エンジンを作ることができない。125ccくらいの大きなエンジンであれば作れる」という「技術的な問題」が理由で、125ccに変える必要が出てきました。(※コスト面でも、125ccクラスのバイクは世界中で広く乗られていて、大量生産によるスケールメリットがある)

であれば、「原付はすべて電動車にする」という改革にしたほうがいいと私は思います。現状、郵便局とか一部の宅配業者で電動バイクが使われていますが、一般ユーザー向けにはほとんど商品が開発されておらず、まったく売られていません。出川哲朗君も、ヤマハのビーノにずっと乗っています。1回の充電20キロしか走れない旧式のバイクです。
今の技術であれば、1回の充電で60キロくらい走れる電動バイクは十分開発可能なのに、なんでやらないのか? ほんと不思議です。通常の原付ユーザーはこれくらい走れれば十分のはずなのに。大阪万博とかアホなイベントやったり、無駄な兵器を買うお金があるなら、高性能バッテリー開発にお金を援助すべきですよ。

さて、これからはマンションの話になります。

今後新発売される「シン原付バイク」が、125のエンジンを積むとすると、当然、車体が大きくなると予想されています。バイク通の間では「ホンダはDio110を改造するのでは?」「ヤマハはジョグ125を改造するのでは?」と言われています。

となると、マンション内にある「ミニバイク置き場」では、「狭い」「置きにくい」という事態が想定されるわけでして。
マンションによっては「区画線の見直し」とかが必要になり、「6台用のミニバイク置き場に今後は4台しか置けない」なんてことになるでしょう。

今後新築になるマンションでも、「ミニバイク置き場」という名称もなくなり、「小型バイク置き場」ってなると思います。そして、1区画の広さが大きくなるため、置ける台数は、今までよりも減少するでしょう。

このように、今ある「ミニバイク置き場」にも大きな影響を与えますし、新築マンションの設計にも少なからずの影響を与えることになります。
(※駅や商業施設のバイク置き場も当然、区画変更が必要になります)

「シン原付」。マンション管理にも影響します。設備などのハード面や、規則や料金などのソフト面も、両方ともいまのうちから対応策を考えておかないと、その時になったら困りますよ。



上記のように呼びかけていますが、残念ながら、この問題、相当なバイクに関する知識がないと理解できないため、マンション管理の業界も何も動かないし、マンション管理士も無知なため解説できません。
みんな、しっかりしてくれよ。