管理人はつらいよ
マンション管理最前線
エアコン2 いまだ設置されず |
まずは、エアコン1をお読み下さい。
当マンションでは幸いなことにエアコンがあるのですが、周辺のマンションでは、いまだに設置されていないところがあり、ご愁傷様です。
当サイトでは、管理人の待遇改善を重点的に訴えていますが、エアコンは「労働するうえで最低限度必要なもの」と考えます。9月中旬でも35度なんていう灼熱地獄の日本で、エアコンなしの部屋で働かせるなんて、拷問です。
近くのマンション、築4年の新しいマンションですが、竣工時、管理人室にエアコンがついてませんでした。ここの管理人室、世帯数150もある大きなマンションなのに、宝くじ売り場程度の広さしかありません。おまけに、集会室もなく、狭い管理人室に書類関係もいっしょに保管してあります。このまま年数が経過して書類が増えれば、管理人が座るスペースすらなくなるんじゃないでしょうか? 設計した建築士の常識を疑います。真夏は熱帯雨林です。小野田さんも横井さんもびっくりの暑さです。おそらく書類もすぐに腐るでしょう。
そんな管理人室ですから、当然、夏は中にいることは不可能です。ですから、ここの管理人さんは、いつも掃除ばかりしています。というか、半分は掃除しているふりで、風通しのいい、裏庭にいます。でも、この人を責められません。ほんと暑いですから。私だってそうするでしょう。
2003年
「”エアコン入れてください”って、リクエストしてるの?」
「もちろん言ってるよ。」
「管理会社に言ったって、相手にしてくれないよ。理事長に言わないと」
「あ、そうか、理事長か。でも、俺、人にものを頼むの苦手なんだよ」
「そんなこといったって、お金出すのは管理組合だから、やはり、理事長に言わないと」
「そうか、試してみる」 〜
「理事長になかなか会えないんだよ。勤め人でさあ。昼間は全然いないんだよ。手紙買いてもシカトだし」
結局断念
2004年
「今度の理事長はおじいさんで毎日家にいるんだけど、”わしが若い頃の日本にはエアコンなんぞなかった”って言われて断られた」
「昔の日本と今の日本じゃ平均気温が5度は違うでしょう。とにかく、灼熱の管理人室の中に入れて話しなきゃだめだよ。その人だって、自分の家にはエアコンあるんでしょうに」
「入れる、たって、うちの管理人室は俺一人しかいられないような狭い部屋なんだよ」
「あ、そうか、二人も入れないんだ」
結局断念
2005年
「山内さん、やっと、理事会で了承してくれて、エアコンが入ることになったよ」
「おめでとう、よかったね」
数日後
「(げんなりした顔で) 山内さん、だめだった。」
「どうしたの?」
「この管理人室、外に通じる穴がないんだよ。配管工事ができないんだ。もし、穴をあけるとすると、工事費が高くて、予算(5万円)がオーバーするんで、結局だめになっちゃった」
「え、5万円だけなの? ケチだねえ。もう、こうなったら、玄関ホールで熱射病で倒れたふりでもして、騒ぎを起こさないとダメだねえ」
「え〜? 俺、そんな役者みたいなことできないよ。それに、俺の場合、夏バテすると腹減って食欲が沸くんで逆に太っちゃうから、周囲からは、夏バテに見えないんだよねえ」
「損な体質だねえ」
かわいそうに、今年もまた、炎熱地獄で働いています。
見かねた住民が、「これでも食べて」と、ソフトクリームを差し入れしてくれたそうですが、管理人室にソフトクリームが入ったとたんに一瞬で溶けて、床に落ちたそうです。悲惨です。
組合員の皆様、給料もそうだけど、職場環境も何とかしてください。今にカミュに「異邦人」のように、「管理人室が暑かったから殺した」などと殺人事件が起きるかも知れません。気が狂いそうな暑さですから。(注:扇風機だけは自前で買ったそうです)
2006/3
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