管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

公開ベンチ とかあってもいいんじゃないかなあ?
高齢者福祉の施策として
「お互い様」の思想も大事だよ





 前回、「提供公園」と「公開空地」のことをご説明しました。今回は、高齢化社会を反映し、そこから発展して発想したお話です。

 日本全国に「メガネ屋さん」があると思うのですが、このメガネ屋さんに関して、「いいなあ、この仕組み」と思うことがあります。それは、例えば、東京の人が、仙台に出張に行った際、仙台で、「メガネのネジがゆるんで壊れそうになってしまった」なんてことになった場合、そのへんの商店街の中のメガネ屋に飛び込んで、「すいません。ちょっと、ネジを絞めてもらえませんか?」と頼むと、「いいですよ」と歓迎してくれて、無料で、ネジを絞めてくれるのです。これは、別に、チェーン店というわけではなく、全国、どこの店で買ったメガネであろうと、無料でやってくれます。
 なんで、無料でやってくれるか?、と言えば「
お互い様」だからだそうです。「うちの店(仙台)で購入したメガネが、東京でネジが緩むこともあるでしょう。そういう時に、東京のお店が対応してくれれば、ありがたいですから。メガネ屋同士の助け合いですよ。アハハ」と店主はおっしゃっていました。
 こういう考え方って、いいなあ、とつくづく思いました。





 さて、話は本題に入ります。
 町を歩いていると、商店の店先とかに、こういうレンガ積みの植栽部分があったりします。このレンガ部分のちょっした隙間に、お年寄りが腰掛けて休んでいることが多いです。

 うちのマンションも高齢化が急速に進んでいますが、この町全体が高齢化しています。そうすると、近所のイオンマックスバリュー(=スーパーのことね)に買い物に行くにしても、体の悪いお年寄りは一気に行けないのです。特に、買い物帰りで重い荷物を持っているときは、途中途中で、一休みしないと帰ってこれません。人によっては、「連続で3分しか歩けない。3分歩いたら3分休まないと」という、ウルトラマンみたいな人もいます。

 ですから、今、この街では、街中のいたるところで、こういう植栽のレンガ部分で腰掛けて一休みしている老人を見かけます。腰掛けられたお店の方は、「迷惑だから、どいてくれ」と文句を言う人もいます。また、道路に面したマンションの植栽部分も、腰掛けやすいので、そこで休んでいるお年寄りも多いです。

 残念なことに、当マンションとスーパーを結ぶ道路には、そこに面した「公園」のようなものがありません。公園があれば、堂々と、その中にベンチで休むことができますが、公園がないので、皆さん、しょうがなく、「他人の建築物」ではありますが、そこにチョコンと腰掛けてしまうのです。

(東京の吉祥寺などでは、町の中のあちこちに、ベンチが設置され、老若男女かかわらず、そこで、一休みしているそうです。こういう、気配りができる街だから、好感度ナンバーワンと言われるのでしょうね。うらやましいです)

こんなのが一個あるだけで、すいぶん助かるんですけどねえ。

 つい先日、私が昼食のために外出している時、うちの住民(高齢者)が、他のマンションの植栽部分に腰掛けていました。すると、そこの管理人(50代の比較的若い、元気なおじさん)が出てきて、「おばあちゃん、このマンションの住民じゃないでしょ? 困るのよ、そこに腰掛けると。迷惑なんだよ。どいてね」と言いました。まあ、管理人としたら、正しい対応だと思います。
 でも、私は、一言言わせてもらいました。
「年取って、弱くなると、歩き続けることができないんだよ。途中で休まないとだめなんだよ。人間、みんなそうなるんだよ。休まずに無理して歩いて、ここで、突然倒れたら、あんただって、救急車呼んだり、面倒なことになって大変だろ?」
「いや、まあ、あの〜 そうかもしれないけど」
「実はさあ、おたくの住民の、いつも赤い服きたおじいさんが、うちのマンションの前でしょっちゅう腰掛けてるんだよねえ。俺はさあ、その人に対して、座るな! とか言わないよ。こういうのって、お互い様なんだから、なんとか、優しい心で頼むよ。あんたも、住民から苦情を受けたりするだろうから、立場はわかるけど、組合の人にも、そういうふうに説明してよ。人間誰しも必ず年を取るんだからさあ」
とお願いしました。幸い、その管理人も理解してくれたようでした。

 そこに座っている、うちの住民に対しては、「あんまり長居すると、この管理人さんに迷惑だから、適当な時間たったら、また、歩いてね」と声をかけました。「うん、大丈夫、あと2分だけ休ませてよ」ってことで、一段落しました。

 まあ、こういうふうに、理解をしてくれるといいんですが、中には、「うるせい、不法侵入だ 警察呼ぶぞ!」と息巻く輩もいるわけでして。なかなか、「お互い様」の思想を浸透させるのも難しいです。

 私が考えるに、「提供公園」とか「公開空地」という制度があるのであれば、小規模マンションなんかでも、「道路に面したところには、必ず、ベンチを一個置いて、地域の人に利用してもらう」っていう制度があってもいいんじゃないかなあ、と思ってます。
たいした面積は必要ないし。地域のコミュニケーション育成にも役立つだろうし。

 みんなで、「お互い様」の気持ちを持てるといいなあ。理想だけどさ。もちろん、利用者にもマナーは必要だから、「ベンチに座る際は禁煙」「ゴミは持ち帰る」としますけどね。お茶飲むくらいはOKだな。

パレスチナ問題も「お互い様」の思想があれば、解決すると思うんだよなあ。


2014/8



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