管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

 読者相談  某マンションの総会召集通知を考える


「なんかおかしくないですか? うちのマンション」

 
 当サイト読者の方から相談がありました。他の皆さんにも参考になると思い、ここに転記します。

「今まで、あまり気にせずに、中身を見ることもなく、ただ、委任状を提出して、総会には欠席していた私ですが、耐震偽装事件をきっかけに管理のことを少し勉強しました。先日、総会の招集通知が配布されて今回はじっくりと見ました。すると、いくつか気になることがありました。トホホ様、アドバイス願えますか?」

 というものです。私からのアドバイスを加えて、下記にその問題点を掲載します。


■「議決権行使書」がありません。「委任状」しかないのですが・・・・

 委任状というのは「議長に全部お任せ」ということになり、事実上、「議案には全部賛成です。あとはよろしく」みたいなものです。無責任な組合員で、「総会なんてどうでもいい。勝手にやってれば」という人にはいいかもしれませんが、「管理組合のことを真面目に考えているが、都合で総会に出席できない」という人にとっては、よくない制度です。特に、議案が複数ある場合、個々の議案によって、賛成と反対と意見が分かれても、「全議案に強制的に賛成させられる」、ということになります。
 委任状というのは、その組合員の代理の人をたてる場合は良いですが、「議長にお任せ」という意味の委任状は現代ではよくないと思われます。委任状ではなく、「議決権行使書」(個々の議案について、賛成・反対の意見を行使できるもの)を採用すべきです。


■「次期役員選任の件」という議案なのに、誰が次期役員になるのか、載っていません。まだ、決まっていないようです。

 役員人事というのも重要な議案です。議案にしているのに、「誰なのかわからない」というのは矛盾してますね。普通は、役員候補の名前を記載した総会資料を作るはずなんですが。一番いいのは、「誰が理事長になるのか?」、役職まで内定させたうえで、議案に載せるべきです。管理組合は理事長への権限が一極集中している、「知事」みたいな組織ですから、理事長の人選が大きな問題です。「Aさんが役員になってもいいが、ヒラ理事なら構わないが、あの人は独断専行するタイプなので、理事長にはさせるべきではない。Aさんが理事長になるのなら反対する」という人もいるでしょうし。


■決算書の「収入」の項目に、「前年度繰越金」が加えられています。

 いまだにそんなことやっている管理会社があるんですか? ダメな会社ですね。詳しくはここで説明しています。


■管理委託契約更新が議案になっていないんですが・・・・
 適正化法で、契約更新時に重要事項説明が必要となったことを踏まえ、「マンション標準管理委託契約書」で自動更新が削除されました。更新の是非を毎年、組合員に問う必要があるといえます。となれば、総会議案にしないとだめでしょう。管理会社との契約期間(○月○日から開始する)は、総会のあとの日付にしないと意味がないです。管理会社が自分の保身のために、組合員に「管理会社はここでいいのか?」を考えさせる機会を奪っているのかもしれません。


 総じて見ると、こちらの管理会社さん、「管理のイロハ」をわかっていないようです。というか、組合が「このマンションは、ど素人ばかりで、チョロイ」と、バカにされているのかもしれません。この機会にきちんと是正させたほうがいいと思います。そして、そのマンションの管理規約も、一度見直ししたほうがいいのではないでしょうか?





2007/3