管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

 エレベーターの中のトランクルームに
閉じ込め時対策の非常用品をストック
 



2015/7


  
まず最初に、このページ「EMTR」を御覧ください。

このように、マンションの中のエレベーターには、「トランクルーム」というものがある場合があります。(※当マンションにはありますが、どこのマンションにも必ずある、というわけではありません)
記述のように、このトランクルームというスペースは、通常使うものではなく、
「棺桶を運ぶ」「急病人をストレッチャーで運ぶ」など、特別な時に使う想定になっています。

さて、エレベーターといえば、大震災の時にクローズアップされましたが、「閉じ込め」が起きる可能性がある、というのが問題になっています。そして、いざ、「閉じ込め」が起きると、エレベーター会社は、まずは「公共施設」や「病院」などを優先して係員を派遣します。一般のマンションは二の次になります。
そうなると、「救出されるのは翌日、いや、3日後」なんていうこともありえます。真夏時なんかだと、閉じ込められて、熱中症で死亡、ってこともあるかもしれません。(停電すれば、カゴ内の換気扇も止まりますから)

そこで、大震災のあとに、いろんな防災用品が積極的に販売された時に、こんなのが出まわりました。

私、温泉ホテルのエレベーターの中で実物を見たこともあります。エレベーターのカゴの中の角っこに常置されているのです。イスの機能もあって、上の部分は座れるようになっていて、非常時じゃなくても、普通のお客さんが「どっこいしょ」と座って、ちょっと休んでいました。箱の中には、「懐中電灯」「ラジオ」「水」「簡易トイレ」「非常用ブランケット」「医療品」「笛」などが入っています。

「エレベーター用防災キャビネット」

具体例は上記企業のサイトを御覧ください。参考になります。

ところで、ここで、私個人の「マンション管理組合の防災対策」に関する考えを述べたいと思います。大震災後、RJC48さんなんかでもそうですが、「防災対策」を考えるところが増えています。そういうところでは、「集会室の中に非常用の水や食料を備蓄しておこう」といった意見が出がちなんですが、私は、「そういうことは個人でやるべき。自分の水や食料は自分でストックしておけよ」と思っています。現実問題として、うちの場合「200世帯超」「住民総数約600名」(夜間時に全員いる場合の想定数字)という大所帯であり、その600名分の「一週間」の水や食料を管理組合で用意して集会室に置いておくというのは、「金銭的」にも「スペース的」にも無理です。「維持管理」も大変です。(うちの場合、どうせ、こういうことも全部「管理人にやらせろ」ってことになりますから)
ですから、基本、「各自でやりなさい」という思想です。
ただ、エレベーターの中に閉じこめられた場合の対策というのは、やはり、個人ではなく、「管理組合」でやるべきものだと思います。

さて、上記「防災キャビネット」の話ですが、イスとして使える利点はありますが、やはり、狭いエレベーターの中に、「角っこ」といえど、常時置いておくのは「狭くなるよ」「邪魔だなあ」という意見があります。(カゴ内の上部に、吊り戸棚みたいな感じで置けないのだろうか?)

そこで私は思いつきました。(同じことを考えた人も、全国にたくさんいると思います)

ふだんは使っていない「トランクルーム」の中に非常用品を置いておけばいいじゃないか?  と。

スペースは十分です。
問題となるのは「鍵の開閉」なんですが、ここは発想の転換をして、「鍵は常時かけない」ということにすればいいと思います。鍵はかけずに、マジックテープとかそういうもので工夫して、「だれでも簡単に開閉できる」ようにすればいいと思います。そうすれば、非常時にはすぐに、この道具を使うことができるし、「棺桶を運ぶ」「急病人を運ぶ」時も、鍵が不要で容易に使用できて便利です。「引っ越し」の時も活用できるでしょう。(いたずらや盗難対策が必要になるから、管理は面倒になりますが、エレベーター内に防犯カメラが設置されていれば、そういう悪いことをする人は少ないでしょう)

といったことを、震災後に、当時の理事会に提案したのですが、「面倒くさい」「そこまで管理組合が考えなくていいよ」と、予想通り、「シカト」されまして、当マンションにこれが設置されることはありませんでした。こういうのは「閉じ込められた経験」のない人には関係ないですからねえ。うちのマンション住民の民度ではしょせん無理なんです。

ただ、私がこの話を、この前の震度5の地震で、閉じ込め事故が多発した時に、ご近所の別のマンションの管理人さんに愚痴っぽく言ったら、「それ、いいねえ。大切なことだよ」「トランクルームを開放すると、その分、カゴの中のスペースが広がるわけだし、一石二鳥じゃないですか!」と、その人が「ガッテン ガッテン」して、そのマンションの理事長に提案することになりました。
そのマンションの理事会では、「ぜひ、やりましょう」ということになったそうです。(えらいなあ) ただ、具体的な実行は、管理会社に押し付けられたそうでして。(あかんでしょ?) 管理会社のフロントは、上述の「防災キャビネット」とかを検索で探して、「これがいいんじゃないですか?」と理事会に提案したのですが、問題は「
価格」。

こういう「防災用品」って、メーカーがぼったくり価格を設定する(※公的機関が購入する例が多いため、けっこう高い価格をふっかけるのです)ことが多く、上記サイトのキャビネットも「15万」とか「17万円」とかする、高価なものなのです。
理事会で説明すると、誰もが、「中に入ってるのはこれだけなのに、なんで、そんなに高いの?」と難色をしめし、購入には至りませんでした。

そこで、その管理人さんから私に相談が来まして。私がアドバイスしたわけですが。

この手のものは、手間はかかりますが、自分で揃えれば、1万円もあれば十分なんです。っていうか、大震災以降、防災用品は増えており、100円ショップでもけっこういろいろなものが売られています。

私が考えるに。

 用品全部をまとめて入れておく、コンテナケース。中身が見えるように透明が良い。
ホームセンターで1500円〜2000円

「イス」代わりにもなるような丈夫なものが望ましい。
<電灯&ラジオ&携帯電話充電器>

手回しで発電できる

6000円程度。

防災用品ということ売られているためちょっと高い。

ラジオと懐中電灯を別々に買えば、ラジオは1000円で買えるし、電灯は100円ショップでも売っている。 

手回し発電も、実際は面倒で、そんなに実用的ではない。疲れてしまう。
※エレベーターのかごの中では「電波が届かなくてラジオは聞けない」ということがあります。事前にチェックしましょう。
非常用品というとすぐに「懐中電灯」と思いつくものですが、懐中電灯の場合、一箇所を明るく照らす構造になっており、エレベーターで閉じ込められた場合は、それよりも、「室内全体を明るく照らす」ほうが、精神的にも安心すると思います。そこで、ランタンタイプのものをおすすめします。今は、キャンプ用品売場とかで探すと、LED照明で安くて(1500円くらい)明るくて、長時間使用できるものがあります。 
エレベーターにカゴの上部に、これを引っ掛けるための「フック」(100円ショップで買える。両面テープで貼り付ける)をつけておくと便利です。
 <予備電池>
できれば、使用する電気機器を全部「単3電池」に統一して、単3電池の予備だけをストックしておくといい。
 <簡易トイレ>  (小用)

100円ショップにあります。
<水>
これも、「非常用飲料水 5年間使用可能」といったものを買うとすごく高いのですが、普通のペットボトルの水を買えば、2リットルで100円で買えます。
「1年に1回 買い換える。管理人が飲めばいい」ってことにしておけば、いつでも新鮮です。

水じゃなくてお茶にしておけば、「古くなりそうになったら、理事会で飲んで、補充する」でもいいかも。 
夏場のことを考えて、塩分も入っている「スポーツドリンク」にしておいてもいいでしょう。
※ゲータレードみたいに、「口が広い」ペットボトルだと、それを飲んだ後に、(男性限定だけど)おしっこをこれにすることが可能です。
<食料>
これも「非常用 5年間保存可能」といったものを買うとすごく高いので、カロリーメイトみたいなものでいいと思います。もしくは、お菓子類でも買っておけば、「古くなったら理事会で食べる」として随時補充すればいいでしょう。 
<非常用防寒アルミ製ブランケット>
これも100円ショップにあります。
防寒としてももちろん、「トイレ」をする際の「目隠し」にもなると思います。 
< 救急用医薬品>
これは、「閉じ込め事故」には不要ではないかと思いますが、欲しいと思った組合さんは買えばいいでしょう。
ドラッグストアで安いものを揃えれば、そんなに高くないです。
 <笛>
非常時に、「中に人がいるんだよ」とアピールするためのもの。これも100円で買えます。
 <ケミカルライト>
懐中電灯があれば不要ですが、万一に備え、「電池が不要」という利点がありますから、買っておいてもいいかもしれません。時々、「氷川きよし」のコンサートに行くご婦人に使ってもらって補充すればいいでしょう。
これも100円で買えます。


以上が、一般的な「防災キャビネット」に収納されているものですが、私独自で「これも追加しましょう」と思うものをご紹介 

 
 <ティッシュ>
なにかと使えます。5箱入り250円程度。
<ウェットティッシュ>
これもなにかと使えます。 
 <レジ袋>
これもなにかと使えます。大便をしたくなった時も、最悪、これを使って済ませましょう。なので、透明じゃないもののほうがいいです。

ゼロ円。
< 消臭スプレー>
用便時とか、加齢臭・女性のものすごい化粧品対策に
小さなものなら100円で買えます
 <うちわ>

夏場は役に立ちます。
無料 もしくは、100円で買えます。
 <ホカロン>

寒冷時に役立ちます。
10個入りで300円程度。
 <本 雑誌 マンガ>

長時間になった場合の気晴らし用に。
小さな子がぐずった時のために、「アンパンマンの絵本」とかがあってもいいかも。
寄付してもらえば無料。
<クッション> (座布団)

長時間になると、当然、カゴの中で座ることになります。その時用に。
100円で買えます。
カゴの大きさに合わせて、数個用意しましょう。 
 

その他、みなさんも独自にお考えいただき、そのマンションの実情に合わせて、あると便利なものを揃えればいいと思います。(「ペット用エレベーターにはドッグフードを保管しておく」、とか)  

100円ショップなどを上手に利用すれば、10万円なんて絶対にかかりません。役員の皆さん数名でいっしょに買い物にいけば、親交も深まっていいのではないでしょうか?

ただ、こういったものは、「長期的な管理」が大事です。防災担当の役員を設定し、その人がきちんと管理して下さい。(※管理人に押し付けるのはやめて欲しい)
水とか食料に関しては、別途、マジックで大きな文字で、「賞味期限 2017年5月まで」とか、目につくように書いておくといいでしょう。電気製品類も、「2015年5月 電池交換済み」とかテプラなんかで貼っておきましょう。
備品台帳も作って、ちゃんと管理しましょうね。役員の皆さん。

また、「ここにはこういうものが隠れて保管されているんです」ってことをみんなが知らないと意味が無いです。特にエレベーターは、住民だけでなく、配達のお兄さんとか、外部の人が人が乗ることも多いです。初めてでの人でも理解できるように、「説明書き」をかごの中に貼っておくことが必要です。特に、「小さな子供だけで閉じ込められた時」のことも配慮する必要がありますから、絵で説明したいものです。

加えて、日頃の防災訓練の際にも、閉じ込めの体験とかするといいかもしれません。実際に、箱の中に何が入っているかわかってないと、いざ本番という時に上手に利用できないですからねえ。





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