管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

防犯カメラ設置の際 ステッカーのこと考えてます??

2019/7

ステッカーは別料金だったりします






以前、「エレベーターの更新工事」に関する大作を書きましたが、その際、「エレベーター会社は、工事のためにエレベーターが使えなくなる一ヶ月間の住民の不便に対して、なにも対応をしてくれない」ということをお伝えしました。

「何回も更新工事をしてる大手企業なんだから、そういうノウハウもいろいろ持っていて、そういう対策を含めての更新工事だろ?」と思い込んでいた我々にとって、契約が済んで、実際の工事が始まる前の時点で、「管理組合さんのほうで自分たちだけでやって下さい。うちは関係ないので」と言い出したことは「無責任極まりない! ふざけるな!」と叫びたいくらいの衝撃でした。

でも、実際に、そういうもんだったのです。そして、それと同じことが他の分野でもありまして・・・・・


今回は
「防犯カメラ」の話題です。





築30年くらいでしょうか、有名大手管理会社が管理する中規模マンションで、かつ、そこは、マンション管理士を顧問契約してアドバイスを受けています。

そこに初めて、「防犯カメラシステム」が設置されました。(後付けってことですな)
そこの管理人さんは顔見知りなので、「ちょっと見に来てくださいよ」と誘われたので見に行きました。

当然、最新型のカメラなんですが、私の印象では「小さくなったなあ」という感じ。つまり、「あまり目立たない」ということです。

そして、気がついたのは、
「カメラしかない」ということ。



カメラとセットとなる、こういったステッカーが貼ってないのです。

「ステッカーはいつ貼るの?」
「え? ステッカー????」

この管理人さん、「ステッカーを貼っていないこと」に、その時初めて気がついたんです。

「あ、そういえば、どこにマンションにもカメラの近くに、ステッカーが貼ってありますよね」
「そうですよ。うちにもありますよ。お宅は貼らないんですか?」
「いや、設置工事は完全に完了したって、この前、業者が言ってました」
「え? もしかして、発注の時点で、ステッカーのことを打ち合わせしてないんですか?」
「ないと思います。一切聞いたことがないので・・・・」
「それ、まずいですよ」

ついでに、「カメラの運用規則は制定してますよね」と質問しました。
「あ、ありますよ。はい、これ。これは、マンション管理士さんが、別のマンションのものを雛形に作ってくれたそうです」
「あ、そうですか、ちょっと拝見・・・・・・(条文を読む)  あ、規則にもあるじゃないですか、この第9条ですよ。9条は大事ですよ、憲法と同じで。ここに、”それぞれのカメラの近くには、カメラで録画していることを知らしめる掲示物を貼り付けること”ってありますよ。これ、普通ありますよ。掲示しないでカメラだけつけたら、それじゃ、隠し撮りになっちゃって、肖像権の侵害とかいろいろな問題になりますから」
「あ〜、なるほど〜」
「実はうちもカメラ設置の際に、ステッカーがないことに工事途中で気がついて、私があわてて、業者に”貼ってくれないと困るよ”と交渉して貼らせたんです」
「あ、そうなんですか?」
といった会話をしてお別れ。

その後、その管理人さんがいろいろ調べてくれたようです。事情がわかりました。

「管理組合理事会は、カメラのことだけで、ステッカーのことを一切考えておらず、設置業者と、その話をしていない」
「管理会社も全く無関心」
「マンション管理士も無関心」
「だから、ステッカーは貼られていない」
「その後、管理人の指摘を受けて、管理組合から工事業者にステッカーの貼り付けを依頼するが、”契約に入っていないことなので”と断られ、”今は100円ショップでも売ってますから、そこで自分で買ってください”と言われた」
「組合の役員がアマゾン通販で購入し、管理人と相談して、”ここに貼りましょう”と決めた」
「しかし、一部のカメラは非常に高い場所にあり、管理人には、高所作業の貼り付けは、制度的にも道具的にも無理」
「管理会社の設備員を呼んで、大きなはしごを持ってきてもらい貼ることになった」

ということになりました。
たしかに高所作業は危険ですから、こういうのは、カメラ設置工事の際にいっしょにステッカーを貼るべきだったと思います。

とにかく、防犯カメラのステッカーというのは、皆さん、意外と忘れているもので、うちの場合は工事途中で私が気がついたので対応できましたが、それ以外の役員もフロントも住民の誰も気が付きませんでしたから、私が言い出さなければ、今回のマンションと同じことになっていたはずです。

ただ、うちの場合、工事業者に「貼ってくれ」とお願いしたものの、「うちのステッカーは1種類ワンサイズしかないんです。これでいいですか?」と言われ、確かにすごく大きい「15センチ×60センチ」くらいの、ものすごく目立つものしかなかったのです。これ、玄関ホールとか駐車場とか、「外部に向けて目立たせる」箇所にはいいのですが、「エレベーターの中」のような狭い場所で、「15センチ×60センチ」は大きすぎて「これはまずいだろ?」ってことになり、ここは私が自作で小さなものを作成し貼り付けました。

「うちの防犯カメラシステムは優秀です」とかカメラ業者の営業マンが言うようなら、ステッカーも数種類用意して、設置箇所に応じて使い分けることができるようにしておきべきじゃないでしょうか? と思いました。カメラのデザインとか大きさにこだわるくせに、ステッカーのことをまったく考えていないというのは片手落ちだと思います。

さて、今回問題となったマンションですが、マンション管理士が顧問についていて、運用規則にもはっきりした条文があるのに、「ステッカーのことを誰一人考えていなかった」というのは、横山ホットブラザーズが10組くらいいっぺんに言いたく鳴るような「お前は、アホか〜」ってことです。


これから、防犯カメラを設置しようと計画しているマンションさん、そして、カメラを増設しようと考えているマンションさん、ステッカーのことは、計画段階からちゃんと考えましょう。防犯カメラって、「機械好きの男性役員が楽しそうに設置したがる」ものですが、機械好きの人こそ、ステッカーという「ソフト面」のことを忘れがちです。注意しましょう。
カメラの設置場所を考えるときにも、「カメラはここ ステッカーはここ」「このカメラには、この小さなステッカー。あそこのカメラには、この大きなステッカー」というように、事前に考えておきべきで、当然、費用の中には、ステッカー代や貼付け費用も組み込むべきです。高所作業をあとからやるのはほんとに大変ですから。




それに、「輪番制」「1年任期」の役員になっているマンションの場合、「防犯カメラ設置のことを考えて議案化して総会決議で可決させた役員」と「工事が決まって実際に工事を実施した時の役員」は代替わりして、別の人になっており、あれこれ計画を考えた人は、工事の際にはもう役員ではなく、「なんだかわかんないけど、前期の役員が決めたことをただ履行するだけ」の新年度役員は、「ステッカー」のことなど思いつくこともありません。だから、こういうことがよく起きます。

皆さん、ご注意下さい。

(※「うちはマンション管理士さんがいるから、こういうこともちゃんと指摘してくれるはず」と過信しないほうがいいですよ。事実、上記のように気が付かないアホな管理士がいっぱい現存するんですから)