管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

老朽化したエレベーターの更新工事 
その3
 





2016/2

まだまだ続きます

★エレベーター更新の話は超長編大作になっています。そのため、下記の表のように記事が分割されています。また、関連項目もブログのほうで記述していますので、ご参考にして下さい。    
 更新工事@ 更新工事をすることになった。決まったけど工事日程変更。停止中のことを誰も考えてくれない。  更新工事A 停止中の3週間のことを考えるのは管理人? アンケート&調査実施  
 更新工事B 工事期間中はなるべく出入りしないようにする。その事前対策。  更新工事C 工事直前の準備。実際に工事をする業者との打ち合わせ。契約体制の説明。  
 更新工事D いよいよ工事開始〜終了 更新工事のいろいろ  鏡 窓 換気扇 
 こぼれ話@ ご近所のマンションでのエレベーター更新工事  こぼれ話A 階段の踊り場に椅子とS字フック
 こぼれ話B トランクルームに防災用品  こぼれ話C 一階の部屋の住民なのに・・・
 こぼれ話D 介護用品の搬入  こぼれ話E ボタンのキャンセル方法が変わった
 こぼれ話F 隙間に鍵を落とす  こぼれ話G 速度は変化なし
 こぼれ話H エレベーターの機械音  こぼれ話I ほんとエレベーター会社は何もしなかった
 こぼれ話J 工事するのはたったの一人?  

 

 エレベーター更新の話の3回目です。


前回(Part2)の結論は、「しょうがない。なるべく出入りしないで済むような方策を考えることにしよう」ということでした。

 そんな中、「工事期間中は仮設エレベーターをつければいいじゃないか?」と言い出す役員がいました。どうやら、その前の週末に、東京に遊びに行って、新築中の大きなビルの側面に、「仮設エレベーター」が取り付けられているのを見て、思いついたそうです。(あとから言わないでよ)
 ただし、ちょっと調べてみると、この「仮設エレベーター」をリースで取り付けると、うちの場合、1台ではなく「2台」必要で、その費用が、「うん百万円」かかり、とてもじゃないですが、そんなお金はありませんし、もともと、総会議案で、そんな工事予算案を議決していませんから、あとから追加するのは無理なんです。というわけで却下になりました。(※もし設置したとしても、恐怖感も相当あるから、女性や高齢者や高所恐怖症の人には無理だと思うし、建物の構造的に「仮設を設置できる場所もない」ようで、はなから無理だったようです)

 さて、話は戻り、「なるべく出入りしないで済むような方策」です。住民への全戸配布はもちろん、掲示板やらエレベーターの中やら、とにかく、あちこちに、貼り紙をして、「エレベーターが止まる」ということを各方面に、早めに告知しました。



<宅配業者への配慮>
 まずは、目につく「宅配業者」に手当たり次第に、この工事のことを伝えます。彼らはマンション内の掲示板とかはまったく見ませんので、こういう大事なことは直接口頭で伝えないと伝わらないのです。業者の中には、「どこかの会社をリストラされて、60近い高齢なのに、必死に宅配の仕事をしている人」なんかもいます。「あなたじゃ無理だと思うよ。死んじゃっても困るから、この期間だけでも、誰か元気な若い人に変わってもらったら?」という話をしました。
 また、「毎月2回 宮崎から温泉水を配達している」とか「ミネタルウォーターの宅配をしている」という「定期的配達」をしている業者には、「水みたいに重いのを10階まで運ぶのは絶対に無理だから、お客さんと相談して、この期間だけ、”1ケ月に1回”の配達に変更して、エレベーターが止まる前日に、まとめて2回分の配達をして、停止期間中は配達をしないでいいように、日程調整したら?」という進言をしました。これは同時に、その契約者である住民にも手紙を書いて、「配達する人のことを配慮願います」とお願いをしました。

<訪問医療関係者への配慮>
 足が悪くて階段は難しそうな「訪問診療」の医者に対しては、「期間中は別の元気な医者が来るように」と勧めました。
 「訪問入浴」の福祉業者とは、相談して、「重い浴槽を持ち上げられるよう、活きのいい若者スタッフに変える」「もうひとりスタッフを追加する」ということにしてもらいました。
 「医療用の酸素ボンベ(これがけっこう重い)を定期配達している業者」に対しては、「配達の時はオレに声をかけてよ。手伝うからさ」と伝えました。
 「定期的に来るホームヘルパーさん」に対しては、「来るな」ともいえないので、「悪いねえ。ごめんねえ」と、ただ、謝りました。
 
<引っ越し リフォーム工事をさせない対策>
 掲示板やエレベーターの中など、あちこちに目立つように貼りました。また、事前説明会の資料の中にも、これを含めていろいろな注意やお願いを書いた紙を加えました。
 また、念のため、「アート引越しセンター」とか「サカイ」とか「ブラックありさん」とか・・・ 大手業者の営業所に電話をかけて、事情を説明して、「日程を変更したほうがいいよ」と伝えました。リフォーム業者に関しても、過去、よく来ている会社には伝えました。

<病院への通院 デイサービス等への通所>
 高齢者や体の不自由な人といえば、病院がつきものです。これも、「薬の受取だけの人に関しては、2週間毎ではなく、1ケ月分をまとめてもらうことにして、期間中は病院に行かなくてもいいことにする」「軽度の病気の人は、この期間は通院をあきらめてもらう。エレベーター停止の前日に病院に行くなどして、調整する」といったことをしました。「デイサービス」なども、軽度の人で、どうしても行かないといけないというわけではない人に関しては、施設長と話をして、「行かない」「回数を減らす」などしてもらいました。また、行く場合は、送迎の車に、「付き添いの人を追加してもらう」ことや、「オレが手伝うから声をかけてよ」と、事前に話をしておきました。

※救急 
 医療関係の調整をしている際に、思いついたことがありました。それは
「急病人が発生し、救急車を呼んだ場合」のことです。地元の消防署へ出向いて、「期間中はエレベーターが使えないから、うちの住民から119通報があった場合は、そのつもりでやってきて欲しい」とお願いしました。
 しかし、消防の人間というのは「部下のイジメが生きがい」のクソ公務員どもばかり(窃盗犯もいっぱいいる)ですから、組織全体にちゃんと周知してくれるか? あてにはなりません。また、忙しい時は、遠くの別の消防署から救急車が来る場合もあります。
 掲示板に、「119通報する場合は、このマンションは今エレベーターが使えないということを、付け加えてるようにしてください」という掲示物を作成しました。また、持病持ちとか在宅介護をしていて、救急車を呼ぶ可能性が高い住民については、私の方で紙を作成し、「期間中は、これを電話の横に貼っておいて」と個別に渡しました。それには、「東棟の618号室です。西棟ではありません。エレベーターは使えないので東棟専用の階段を上がってきてください」ということが書いてあります。

 ついでに、地元警察署にも伝えておきました。

<買い物の宅配サービス>

 さて、「出入り」の中で最も多いのが「買い物」です。そして、問題になるのが
「重い物」
 事前アンケートでも、「荷物なしであれば、なんとか階段を登れるが、荷物を持つと苦しい」という回答が多かったです。
 「お米」「水などの飲料」「サラダ油」などなど。こういう「保存の効くもの」については、「なるべく事前に買いだめをしておいてください」とお願いしました。
 また、「出かけなくても買い物ができる」という「宅配」に関する情報も集めました。「今はみんな、ネット通販でなんとかなるでしょ?」と思われるかもしれませんが、「エレベーターが動かなくて困る人」というのは、スマホやPCを持っていない人がほとんどです。ですから、「ネット通販」の情報だけでなく、「電話でなんとかなる、アナログな宅配」に関する情報も集めました。これは、実際に、その店舗へ出向いて、方法の詳細を聞き、パンフレットを大量に持ち帰り、そのパンフの内容を、簡潔に、かつ、高齢者でもわかるように噛み砕いたものを私の方で別途作成し、「ご自由にお持ち帰りください」というコーナーを作って、希望者に配布しました。周辺の「スーパー」「ホームセンター」「コンビニ」もひと通り回りました。
 このシステムですが、お店ごとにいろいろで。「商品価格は店頭と同じだが、配達料金が加算される方式」とか「商品それぞれに、配達料として、プラス**%が上乗せされる」とか、「指定の大きさのカゴに入れば、配達料は定額。箱が2個になると、配達料は倍額」とか。「昼の12時までに申しこめば、当日の夜までに配達してくれる」「当日配達はなし。翌日になる」とか。けっこう、ややこしいので、私の方で、各社をまとめて一覧表を作ったりしました。(ものすごい労力かけてます)

 それから、「お弁当の宅配」も調べました。「ほか弁」関係はあちこち行きましたが、残念ながら、当マンションへ配達してくれる店舗はありませんでした。そのため、「生協のお弁当宅配」とか、ブラック企業なので大嫌いなんですが「ワタミのお弁当宅配」も調べてパンフを集めました。1ケ月間だけ、そういうのを契約した人も多かったようです。お弁当も、「温かい状態で配達してくれる」会社もあれば、「冷凍状態になったものを1週間分まとめて1回で配達するから、冷凍庫で保管して、食べる際にその都度チンする」とか。ほんと、いろいろでした。

出前
食事の宅配といえば、昔ながらの「出前」がありますが、これには一つ困ったことがありました。うちの場合、習慣的な暗黙のルールで「出前の容器は、食べ終わった後は、その住民が「東棟なら、東棟の1階のエレベーターホールまで持ってくる」「西棟なら、西棟の1階のエレベーターホールまで持ってくる」ということになっていたのです。
これだと、住民が大変なので、この期間だけは特別に、「部屋の前に容器を置くから、悪いけどさ、そこまで取りに来てよ。お願い」ってことを常連の近隣飲食店に交渉して了解してもらいました。その代わり、普段は「チラシ配布禁止」なんですが、「全戸配布して宣伝していいよ」という「お礼」をさせていただきました。

 このようなことを、管理人一人で全部やったのです。疲れるなあ。よその管理人さんでは絶対にやらないでしょう。

 なお、実際に工事が始まった時のために、「荷物運びとか、その人の手を持って昇降を手伝ってあげるための人員を雇っては?」という意見も出て、その手の会社(警備関係など)に問い合わせをしましたが、「荷物運びはしますが、お客様の体に触れる行為は一切しません」(万一の時の責任を撮れないため)と言われ、かつ、経費もかなりのものなので、「人員を配置しても、意味ないでしょ? 管理人がやればいいじゃん」っていう、ここの役員のいつもの発想で、この「人員派遣案」も消されてしまいました。
(繰り返しますけど、今回のエレベーター更新工事は、管理組合とエレベーター会社との直接契約なので、管理会社は一銭の利益にもなりません。なのに上記の事項をすべて「無料奉仕」で管理人がやっているのです)

 まあ、私としては、当然、「自分がいろいろと動いて手伝わないとだめだろうなあ」と覚悟はしていますが、万一の事故の際の責任問題もあるため、管理会社の方で、「管理人がお手伝いします」というのは言い出しませんでした。そういうのを文書にしたり、掲示したりすると、管理会社のせいにされますからね。


まだまだ続きます。次回はいよいよ工事開始。





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